スペイン1部アトレティコ・マドリード移籍が決定したウルグアイ代表FWルイス・スアレス(33)が24日正午すぎ、バルセロナのホームスタジアム、カンプ・ノウで退団会見を実施した。その模様をスペイン各紙が伝えている。

スアレスは冒頭のあいさつで涙をこらえながら、「これは僕にとって非常に難しいことだ。全て予期せぬことだったし、何の準備もしていなかったからね」と切り出し「僕はただ、契約を結んでくれたこのクラブに感謝しなければならない。僕を信頼し続けてくれたからね。このことを受け入れるのは簡単ではなかった」と思いを語った。続けて「監督、チームメート、みんなが本当によく接してくれた。ずっと感謝し続けるだろう。僕が夢をかなえるために行ってきた努力を誰もが知っている。僕はバルセロナが世界一のクラブだとずっと言ってきた。一つの時代が終わることを自覚している」と6年間過ごしたクラブに対して感謝を述べた。

その後、メディアの質問にも答えたスアレスは、入団時に思い描いていた以上のことができたかを問われ、「バルセロナに入団し、プレーするという夢を実現することができた。この瞬間が来ることを全く想像していなかった。バルサでは常に最高のパフォーマンスを発揮する必要があるし、それをずっと継続できたことに誇りを感じているよ」と返答した。

バルセロナで特に記憶に残っている瞬間については「多くの素晴らしい瞬間、勝利の瞬間、悪い瞬間があった。最初のリーグ戦、ゴールを決めて優勝したチャンピオンズリーグが特に記憶に残っているし、プレイステーションで見ていた素晴らしい選手たちと一緒にプレーすることができた」と明かした。

「自身の退団がこのような形になると思っていたか? そして良くないことをやった人物がいるか」という質問については、「僕は今、誇りを感じる必要がある。同意したい人もいればそうでない人もいる。でも今、僕がやるべきことはチップを切り替え、忘れられない瞬間を過ごしたバルサに感謝することだ」と答えるに止まった。

スアレスの移籍をめぐっては、一時はイタリアの強豪ユベントス移籍が有力と報じられるなど、情報が入り乱れた。質疑応答で、「おかしな1カ月を過ごしたか」と聞かれた際には「人々があまりに多くのことを言っていた。物事がでっち上げられ、事実ではないことが漏えいしていたよ。憤慨する時もあるが、それらのことから離れるように努めなければいけない」と見解を述べた。

「バルセロナでまだ貢献できると思うか」という問いについては「もう過去のことだが、まだ間違いなくラ・リーガで戦い続ける力があると感じている。けがの後なのでより大きな意欲があるよ」と返答。アトレティコ・マドリードとの契約については「皮肉に聞こえるかもしれないけど、バルサが僕を戦力に考えていないと言った時、多くの連絡があったんだ。僕にはレアル・マドリードやバルセロナのようなチームと戦う力があると感じていた」と振り返った。

リーグ戦でバルセロナと対戦することについては「いや。僕はまだこの別れを消化できていないからね。でもそのチャレンジに魅力を感じているので楽しみにしているよ」と答えた。移籍に関しては、かつてアトレティコ・マドリードに所属していた同じウルグアイ代表DFディエゴ・ゴディンとバルセロナでチームメートだったフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンに話を聞いたと明かした。スアレスは「ゴディンとグリーズマンがアトレティコについて教えてくれた。アトレティコは非常に競争的で野心的だ。僕が望むのは成長し続けることだし、重要なものを勝ち取れるように頑張るよ」と力を込めた。

バルセロナであうんの呼吸を見せてきた盟友のFWメッシからアドバイスを受けたかという質問については「僕たちはお互いをよく知っている。レオは僕が考えていることを知っているし、僕も彼の考えていることを分かっている。アドバイスを送り合うのに僕たちは、あまりにも年をとっている」と返答した。(高橋智行通信員)