バルセロナ所属のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(33)が、60歳で死去した母国の英雄ディエゴ・マラドーナ氏を「神の手」で追悼した。オサスナ戦の先制点の場面で、味方の放ったループシュートに飛び込み、左手を上げるジェスチャーを模倣した。さらに豪快な左足シュートを決めるとシャツを脱ぎ、下に着ていたマラドーナ氏のユニホームを披露。空に向かって投げキスをした。

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メッシから尊敬する「神の子」マラドーナ氏へのオマージュだった。

前半29分、ゴール前へ詰めたFWブレイスワイトがGKにブロックされたシュートのこぼれ球を左太ももに当ててゴールを狙う。フワリと浮いたボール。脇から飛び込んだメッシは左手を上げてボールに触れるかのようなジェスチャー。まさに「神の手」の再現だった。ボールは手を触れずインゴールへ飛び込んだ。

さらに3-0で迎えた後半28分。中央をドリブル突破し、ペナルティーエリアのすぐ外から弾丸の左ミドルをゴール右上へ突き刺した。するとシャツを脱ぎ、下に着ていた赤と黒のユニホームを披露した。中に着ていたのは93~94年にマラドーナ氏がプレーし、メッシも少年時代に所属した故郷ロサリオのクラブ、ニューウェルス・オールドボーイズのものだった。

メッシはマラドーナ氏が86年W杯メキシコ大会でチームを優勝に導いた翌年に生まれ、マラドーナ氏が93年にオールドボーイズでデビューしたエメレク戦はスタンドで観戦していた。その試合でマラドーナ氏が挙げた得点は、まさにこの日のメッシと同じくエリアすぐ外から決めたもの。両手を天に突き上げた姿も一緒だった。メッシは試合後、インスタグラムに2人が両手を突き上げている写真を並べ「Hasta siempre, Diego.(ディエゴ、またいつの日か)」とつづった。

バルセロナOBのマラドーナ氏へ白星を贈ることができたクーマン監督は「メッシがあのゴールパフォーマンスを準備していたことは知らなかった。すてきなジェスチャーだったし、素晴らしい瞬間だった」と笑顔で振り返った。