リバプールFW南野拓実(27)がサウサンプトン戦に今季37試合目で初先発し、値千金の同点ゴールを決めた。これで今季公式戦でのゴール数を10点とした。チームは後半22分にDFジョエル・マティプの得点で逆転勝ちした。2位のリバプールは勝ち点を89とし、首位のマンチェスター・シティーに1差。最終節に逆転優勝の望みをつないだ。

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試合に出られなくても腐らずに全力を尽くす。南野のプロフェッショナルな姿勢が好結果を引き寄せた。

負ければマンチェスターCの優勝が決まる一戦。リバプールは14日のFA杯決勝・チェルシー戦から先発9人を変更。南野も今季初めて名を連ねた。1点を追う前半27分。南野は右サイドから相手ボックスに進入。ジョタのパスを受け、豪快な右足シュートをニア上に突き刺した。

南野は「怒りのモチベーションで、やってやろうという気持ちしかなかった」。クロップ監督も「(控えの)この選手たちはガレージにしまってあるフェラーリのようなもの。外に出せばすぐにこういう結果を生むんだ」と喜んだ。

南野のプレミアリーグでの先発はサウサンプトンに期限付き移籍していた昨年5月23日ウェストハム戦以来、約1年ぶり。リバプールで最後にスタメンで出た20年12月19日クリスタルパレス戦からは1年半近くがたっていた。今季3点目に大喜びしてもおかしくなかったが“古巣”相手にパフォーマンスを自重。そんな配慮も南野らしかった。

今季公式戦10得点。データ分析会社OPTAによると、1得点に101分かけているが、これは1000分以上プレーしているプレミアリーグ選手の中では最短。マフレズ(120分、マンチェスターC)、エンケティア(128分、アーセナル)、バーディー(129分、レスター)、サラー(130分、リバプール)、ロナウド(133分、マンチェスター・ユナイテッド)よりも短い。限られた時間で決定力を示した南野は「5大リーグで日本人が(2桁得点を)取れば相当すごいが、カップ戦も含めると(評価は)難しい。それでも切りのいい数字に乗せられたのは良かった」。あらためて高い得点能力を証明した。

◆最終節の行方 勝ち点を89とした2位リバプールはホームで行われる22日の今季最終戦でウルバーハンプトンと対戦する。一方、勝ち点90の首位マンチェスターCは同日にホームでアストンビラと戦う。マンチェスターCは勝てば2季連続8度目の優勝が決まる。アストンビラの指揮官はリバプールのレジェンドであるジェラード監督で、かつてリバプールで大活躍したブラジル代表MFコウチーニョも同クラブに所属。興味深い対戦になりそうだ。