2018年にタイの洞窟から奇跡の生還を果たし話題となった少年が、サッカー留学先の英国で死亡したことが分かった。AP通信など複数メディアが報じた。

タイのジーコ財団によると、当時チームの主将だった「ドム」ことドゥアンペット・プロムテープさん(17)は14日、留学先の英国レスターシャーのフットボールアカデミーの自室で意識不明の状態で発見された。病院に搬送されたが死亡が確認された。死因などは分かっていない。

イアン・スミス校長は「この出来事は我々に大きな悲しみと動揺を与えている」とショックの大きさを口にした。また、ジーコ財団を率いる元タイ代表主将のキアティスク・セナムアン氏はオンラインの会見で「彼は明らかに健康だった」と語り、体調面に問題はなかったとしている。

ドムはタイ北部チェンライ県にあるユースチーム「ワイルド・ボアーズ」のキャプテンだった。18年6月、仲間の誕生日を祝うためにチームのメンバー12人と25歳のコーチで、日頃から遊び慣れたタルムアン洞窟群に入った。

そこへ大雨の浸水による洪水が発生し、洞窟内に閉じ込められてしまった。13人はわずかな食糧と水で9夜を過ごし、国際ダイバーを巻き込んだ大掛かりな救出劇の末、無事に救助されていた。その決死の救出劇は世界中で話題になり、これまで何度も映画化されていた。

ドムはその後、念願かない、ジーコ財団のサポートを受けて昨年夏から英国へサッカー留学。プロサッカー選手を目指していた中で、まさかの結末を迎えてしまった。