飯塚翔太(ミズノ)は「これは初めて」と驚く形で、準決勝に進出した。予選7組で20秒58の4着でゴール。電光掲示板の予選突破者リストに名前はない。取材エリアに現れた飯塚は「準決勝で勝負するチャンスがなく悔しい。しんどいです」と落胆を隠せなかった。

 取材対応も終わりに差しかかった時だった。取材エリアにあるモニターに信じられない光景があった。「Shota IIZUKA」と書かれた隣に通過を意味する「Q」とある。カナダと南アフリカ選手がレーンを逸脱して失格。2着に繰り上がり、準決勝進出が決まった。その後、カナダと南アフリカが抗議するも却下された。

 それを見た飯塚は目を丸くして「え~入った」とのけぞった。「挽回します。いや~複雑なんですけど、課題をクリアできれば、チャンスある」と明るい声に変わった。

 礼儀正しい男は、遠征先でトイレを使用した後は掃除するのが習慣。ただ、この日は「珍しく2回磨いたんですよ」と“トイレの神様”のおかげを強調した。これで五輪、世界選手権を通じ初めて100メートル、200メートルの日本男子代表全員が準決勝に進出した。