全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は18年元日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。今大会は4区(22.4キロ)と6区(12.1キロ)にコース変更があり、新コースで行われる。

 中部地区を制したトヨタ自動車は11年以降3回の優勝と、近年では最も優勝回数が多いチームだ。フルマラソン経験のある選手がグレードアップし、V奪回に手応えを感じている。

 チームの柱となるのが前回3区で20人抜きを演じた大石港与(29)だ。11月に1万メートルで自己2番目の記録となる27分50秒72をマーク。「これで、(外国人区間の)2区でも行ける」と自信を見せる。

 大石は前回のニューイヤー駅伝の1カ月後に別府大分で初マラソンに踏み切った。2時間10分39秒で4位の成績は上出来だったが、その後はスピードに対応できる自信を持てずにトラックシーズンを過ごしていたのだ。

 そんな大石に大きな刺激を与えたのが、9月の全日本実業団陸上に出場したニューイヤー駅伝前回優勝の旭化成のエースたちだ。「自分たちは旭化成を意識しているのに、旭化成はトヨタを意識していなかった。トヨタとの勝負よりも、外国人選手たちについて行く走りをしていました」。

 前回大会の大石は、2区でチームが23位と大きく後れたために、驚異的なスピードで前半から突っ込んだ。終盤こそスピードが鈍ったが、チームメートの宮脇千博(26)が持つ3区区間記録に5秒差に迫る快走で、チームを一気に3位まで浮上させた。旭化成勢に衝撃を受けた大石はスピード練習にも力を入れ1万メートルでも実績を残した。今の大石ならスピードの落ち幅を最小限に抑えられる。2区で前回ほど後れることがなければ、3区でトヨタ自動車が優勝争いに加わる可能性は大きい。

 4区候補が4年前に区間賞を取った宮脇と、15年、16年に連覇したときに4区を連続で走った窪田忍(26)の2人だ。

 宮脇は中部予選3区で区間新と、久しぶりに快走を見せた。好調の理由は「練習が継続できているから」。10月のシカゴマラソンはスローペースのため2時間13分23秒の11位だったが、35キロまで優勝争いに加わる好走だった。「いつもだとマラソン後に休まないといけない状態でしたが、今回はダメージなく練習が継続できました」と好調を維持している。

 また窪田が足首の手術によるブランクから復帰していることも大きい。2連勝時に6区で勝負を決める走りをしてきた田中秀幸(27)も、ケガから復帰して調子を上げている。

 主将の大石は「駅伝シーズンになると各選手が調子を上げてくるのがトヨタ自動車の強み。駅伝の中部予選の結果と11月のトラックの走りを見ると、勝負できるところまで良くなってきました」と、チーム状況に関しても手応え十分だ。

 トヨタ自動車が選手層の厚さ、プラス“駅伝の強さ”でV奪還に向け加速している。