初マラソンの鈴木亜由子(26=日本郵政グループ)が、2時間28分32秒でマラソン初優勝を果たした。

2020年東京オリンピック(五輪)代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権も獲得し、トラックの女王が世界と戦うため、新たな道を進んでいく。「目標はMGCの資格を取ることだったので、それが達成できてホッとしている。東京2020に向けて、自分の可能性が広がったと思うので、1歩1歩前進して行けたらいいなと思います」と笑顔で話した。

12キロで谷本観月(天満屋)がペースメーカーを交わしてどんどん差を広げた。初マラソンで未知の戦い。普通なら焦っても不思議のない展開だったが、「前半は力を温存して冷静に行こう」と描いた青写真通り、自分のリズムを刻むことだけに徹した。折り返しの25キロでギアを上げると、27キロ過ぎで前田彩里(ダイハツ)を抜いて単独2番手に上がった。

あとは谷川を追うだけ。グングンスピードを上げて30キロで34秒もの大差だったが、32・9キロあっさり交わし、勝利を手にした。「ラスト10キロマラソン特有の苦しさを感じたが、しっかりゴールを目指して走ろうと思った。途中、腹痛になって辛かったが、練習でも同じようになった時に数キロ走ったら治った。1度経験できたのは良かった」とさらりと言った。

春先に右足甲を痛めた。今大会の出場を決めたのは6月の日本選手権終了後、約2カ月間で急ピッチに仕上げた。7月上旬の米国・ボルダー合宿では、35キロ以上の長距離走を7本入れて追い込んだ。鈴木は「マラソンと向きあって、スタートラインに立てるところまできた」と納得の表情を浮かべた。

16年リオデジャネイロ五輪は5000メートル、1万メートルに出場した。今後について、高橋昌彦監督は「どう調整していくかは本人と話し合って」と慎重だったが、今大会の結果をみれば、マラソンにシフトしていく可能性が高い。鈴木は「今日が第1歩だと思うので、これを糧にまた次に向けて努力していきたい」と2年後に向け、強い思いを吐露した。

男子は岡本直己(34=中国電力)が、2時間11分29秒の自己ベストで初優勝した。