限界は設定しない。男子マラソンで日本歴代5位の2時間6分54秒の自己記録を持つ井上大仁(26=MHPS)が31日、ニュージーランド合宿から帰国。将来的な日本人初の4分台へ意欲を示した。

金メダルを獲得したジャカルタ・アジア大会では最後に振り切ったエルアバシ(バーレーン)が12月、2時間4分43秒で走った。そのことを問われ、井上は「根拠はまったくないんですけど」とした上で、2時間4分台は「いけるんじゃないか」。その上で2時間1分39秒の世界記録を持つキプチョゲ(ケニア)の言葉「No human is limited(誰にも限界はない)」と付け足した。右肩上がりに成長を続ける26歳。「対世界を考えた時、一番に立つならもっと強くならないといけない」と力を込めた。

ただ、今磨くのは勝負に勝つ力。ハイレベルなレースを経験し、20年東京五輪の代表選考会「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」の糧とする。4月にはマラソンの世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」に数えられるボストンに参戦する。

井上は「記録より勝負に徹する。ペースメーカーがいない中の海外勢に揺さぶりへの対応、総合的な引き出しを作る」。ペースメーカーがいないのは、MGCも同じ。さらに世界トップ選手が集うボストンと比べれば、MGCはレベルが落ちる。この舞台で勝負できれば、MGCへは大きな自信となる。「過程を積んでいくことで経験値、強さを上げる」と話す。

合宿では約3時間での50キロ走、2度の40キロ走など長い距離へ体を慣らすことに重点を置いた。「目的にあった走りはできた」とうなずいた。記録と強さが両立する実力を蓄えていく。