箱根駅伝に初出場の63回大会から33年連続で出場していた山梨学院大は11時間6分22秒で17位に終わり、本戦出場を逃した。

ムルア(1年)が全体10位と健闘した以外は、本来の力が出せなかった選手たちは、うつむいた表情で発表の時を待った。アナウンスされたのは15位までで、学校名すら呼ばれない屈辱を味わった。首藤貴樹主将(4年)はチーム13人中9位で全体235位と大ブレーキ。「コンディションもよく、しっかり準備してきたのに、なぜ自分の力が出せなかったのか分からない」とぼうぜんとした表情で話した。

首藤とムルア以外は5キロ15分20秒ペースで集団でいく作戦だったが、途中でペースが乱れ、10キロ手前でバラバラになった。上田監督は「4年生が10キロ過ぎに顔をしかめていたのは想定外。上位に食い込む選手がいなかった。そんなに速い設定をしていなかったが、焦りからか、遅いと感じた選手が(ペースを)上げてしまったのかも」と厳しい表情で語った。

主将に任命された首藤は、自分のことだけ考えていた昨年とは違い、チーム全体のレベルアップを一番に考えるようになった。ミーティングを増やし、チームメートにも積極的に声をかけ、鼓舞した。「それぞれが理想とするものに対し、課題を持って取り組んだ」。夏合宿で効果は表れ、首藤をはじめとした主力が次々と自己記録を更新。スタート前までコンディション万全の状態だったが、予想以上の厳しい結果に終わった。

初出場から33年続けてきた記録が途絶えた。今季から現場を仕切っている飯島駅伝監督は「責任を感じている。いい選手はたくさんいて、みんな自分を信じてトレーニングしてきたのに結果に結び付かず申し訳ない」と肩を落とした。チームを箱根駅伝で3回の総合優勝に導き、常勝軍団を作ってきた上田監督は「彼(飯島監督)自身が結果を受け止めて新たな指導法を考えていくと思う。自分はそれをサポートするだけ。正直寂しいし、悔しい。(箱根駅伝に出ない)こんな正月は初めてかな」と胸の内を明かした。

筑波大が26年ぶりに本戦出場を決め、麗沢大や駿河台大などが出場にあと1歩に迫るなど、来年以降も激戦になる。上田監督は「高速化になり、変革を求められている。それに対応できるチームが結果を残している。今まで通りでは通用しないし、考えに浸っている暇もない。今から来年に向けて練習するしかない」。山梨学院大は新たな歴史を作るため再スタートを切る。【松熊洋介】