陸上の日本選手権の男子100メートル決勝を制するのは?

今夜8時30分からのレースで、カギを握るのは「10秒0台」を出せるかどうか-。過去3年の優勝タイムは、17年が10秒05(サニブラウン)、18年が10秒05(山県)、19年が10秒02(サニブラウン)。10秒0台で推移する。いずれも2位は10秒1台。10秒0台を出すことで、王者は一気に近づく。

最も、その力を持っているのは桐生祥秀(24=日本生命)だ。今季だけで10秒0台は4度というハイアベレージ。過去4年間では9秒98も含め、10秒0台を上回るタイムを16度も出している。前日1日の準決勝はスタート時にバランスを崩し、10秒27と不発だったとはいえ、ミスなく走れれば、13年以来の優勝の可能性は高い。

ケンブリッジ飛鳥(27=ナイキ)は、8月に10秒05と、10秒03の自己新を出した。連動性を意識するなど取り組みを変えたことが好調につながっている。過去4年の桐生との直接対決は5勝7敗。前回大会は決勝で、最下位となる8位の屈辱を味わったが、4年ぶりVの可能性は十分にある。

「勝手に足が回る」と言うほど調子がいいのは、多田修平(24=住友電工)だ。準決勝では全体トップとなる10秒23。体のバランスを崩し、近年は17年に出した自己記録10秒07に遠い、走りが続いていたが、復調の兆しがある。

昨年7月に9秒98を出した小池祐貴(25=住友電工)は今季、調子がいまいち。準決勝も10秒28の桐生に次ぐ2着だった。ただ「不安は解消された」。昨季は9秒台も含め、4度の10秒0台を上回る記録を出した地力があるだけに、不気味な存在だ。

200メートルが本職の飯塚翔太(29=ミズノ)も、混線になれば、サプライズVの可能性がある。近年は100メートルとの両立を続けており、昨年の日本選手権100メートルも4位。自己記録は10秒08で、今季最高は10秒13だ。

東農大二高2年で、自己ベスト10秒27の柳田大輝は、トップ選手にどこまで競れるか。8月のセイコー・ゴールデングランプリでは5位で、多田と小池に先着している。鈴木涼太(城西大3年)は9月に10秒22、竹田一平(23=スズキ)は8月に10秒25の、ともに自己新を出している。

 

・男子100メートルのスタートリスト

レーン 選手名(自己ベスト)予選・準決勝タイム

 

2 柳田大輝(10秒27)10秒41・10秒38

3 鈴木涼太(10秒22)10秒40・10秒39

4 ケンブリッジ飛鳥(10秒03)10秒36・10秒23

5 小池祐貴(9秒98)10秒37・10秒28

6 多田修平(10秒07)10秒33・10秒23

7 桐生祥秀(9秒98)10秒21・10秒27

8 竹田一平(10秒25)10秒40・10秒37

9 飯塚翔太(10秒08)10秒39・10秒29