全国舞台で笑顔の「花」を咲かせてみせる。宮城県高校総体の陸上競技が28日、弘進ゴムアスリートパーク仙台で開幕する。女子100メートル障害の古川黎明・福嶋唯花(3年)は、1年時の東北総体を左膝の故障で欠場。昨年はコロナ禍で史上初の全国高校総体中止。2年分の悔しさを胸に、ラストチャンスで初の全国総体出場を狙う。大会は4日間で男女計42種目。2年ぶりの全国切符を懸けて熱戦が繰り広げられる。

    ◇    ◇    ◇

古川黎明・福嶋が、6年間続けてきた陸上で集大成を見せる。「今まで1度も全国入賞をしていなくて、お世話になった方に最後の最後で全国の表彰台を見せたい」。古川黎明中1年時に競技を始め、同秋から100メートル障害の道に。すると、2年時にジュニア五輪、3年時は全中や国体に出場した。高校でも全国舞台を経験し、昨年10月の東北高校新人では同種目優勝で最終学年に弾みをつけた。

今オフは降雪でグラウンドが使えない時期もあったが、室内練習や部員全員で行う100メートルの往復リレーなどで仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら強化。一冬越えて、これまで苦にしていたジャンプの技術も向上させた。しかし、コロナ禍による部活動自粛やシーズン突入後に競技場での練習が1カ月間できない時期が影響。5月上旬の地区大会では「自分の走りを見返したときもタータンで全然走れていない」と不安を覚えた。

それでも目標の「全国総体決勝での13秒台」へ、歩みは止めない。思い描く走りは「100メートルのスタートと同じくらい前に出て、ほとんど頭を動かさないで跳んで、最後までスピードを落とさないでゴールを駆け抜ける」と、シニアの第一線で活躍する青木益未(27=七十七銀行)に憧れている。中学3年時の福井国体では宮城県選手団として大会に参加し「その時、私は眼鏡だったんですけど、『眼鏡かわいいね』と話しかけていただきました(笑い)。すごく優しくしていただきました」と今でも思い出に残っている。以降は青木のレース映像を確認して、参考にしてきた。

大会最終日、31日に行われるレースには、中学3年から継続している音楽鑑賞を本番前に行い、気持ちを高めて臨む。「ヒゲダン」の愛称で知られる人気バンド、Official髭男dismの「Stand By You」がお気に入り。「あなたのそばに」という意味を持つこの曲が好きな理由を「3年生は6人。1位を取って、最後にみんなで写真撮影をしたり、応援をしている時が一番うれしいなと感じるので」と話す。

まずは、6位入賞者までに与えられる東北総体出場権の獲得が目標。苦楽をともにした仲間の後押しを受け、悔いを残さないよう駆け抜ける。【相沢孔志】

◆福嶋唯花(ふくしま・ゆいか)2003年(平15)12月9日生まれ、宮城・大崎市出身。古川黎明中1年で陸上競技を始める。古川黎明高1年で茨城国体出場。2年では東北高校新人で100メートル障害優勝など。自己ベストは14秒49。163センチ。家族は両親と弟。好物はメロンパン。