初出場の東京国際大が2時間12分10秒で3大駅伝で、初優勝を果たした。3区丹所健(3年)が先頭に立ち逃げ切った。傑出した力を持つアンカーのケニア人留学生ヴィンセント・イエゴン(4年)に頼りきることなく、全員の力で勝った。初出場校の優勝は第1回大会を除いて初めてになる。創部は2011年。新興チームが歴史をつくった。

出雲路に新しい優勝校が刻まれた。東京国際大。しかも初出場で、創部からまだ11年目。ゼロから土台を築いてきた大志田監督は「選手に感謝。ヴィンセント頼りのチームだったが、頼らなくても戦えるとアピールできた」と感慨に浸った。

2位青学大に1分57秒差という圧勝劇は、まったく予想しない展開だった。5区まで上位で粘り、箱根で2区の区間新を樹立しているヴィンセントで逆転というプランを描いていた。しかし、1区山谷が先頭と5秒差で粘り、3区丹所は先頭でタスキリレーした。突き抜けた力を持つ留学生がアンカーに控える中、日本選手だけでライバルに先行。他校の戦意を奪うには十分すぎる内容だった。青学大の原監督は「1区で東京国際だなと思った」。日本選手の力、チーム力を存分に示した勝利だった。

チームの歴史は、校内放送から始まった。「今思うと、よくやっていたな」。自らを少し褒めるように、指揮官は草創期を回想する。もともと大学に駅伝部はなく部員0人。2011年入学式の昼休み。中大ではコーチとして箱根総合優勝も経験している大志田監督はマイクで呼び掛けた。

「今から駅伝部の説明会をします。興味のある方は集まってください」

もちろん簡単にはいかない。約60人が入る教室に集まったのは4人だけ。陸上経験者2人、野球経験者1人、マネジャー志望1人だった。まず1年目は勧誘に力を注ぎ、全国を回った。翌春には27人が入部。人数こそ集まったが、女子と同じペースでしか走れない時期もあった。選手の力に合わせた練習を積み上げ、創部5年目で箱根に初出場を果たすなど、徐々にレベルを引き上げていった。

強烈なインパクトを残し、全日本、箱根へと向かう。大志田監督は「優勝を目指していけるチーム作りができている」と自信をのぞかせる。さらなるサクセスストーリーを作り上げていく。【上田悠太】