急成長ハードラーが、関西でさらなる高みを目指す。全国高校総体陸上女子400メートル障害で4位に入賞した常盤木学園・日下あやな(3年)が来春、立命大(京都)に進学する。1年冬に400メートルから転向し、才能が開花。2年秋から部長を務め、姿勢と成績で仲間を鼓舞し続けてきた。成長曲線を描き始めた逸材は「メダル獲得」を目標に掲げ、夢を膨らませている。

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陸上、女子サッカーをはじめ、スポーツ強豪校の常盤木学園。数多くのトロフィーや賞状が並んだショーケースの前で、日下が決意を新たにした。大学合格が決まり「喜びが1番」と語ったが、支えてくれた人々への感謝は忘れていない。「たくさんの方々のサポートがあったからこそできた結果。これからもっと頑張らなきゃ」。関西の地で活躍し、結果で恩返しする。

2度の種目転向を経て、輝く場所を見つけた。インターハイ出場を目標に入学した同校では、中学時代の短距離から400メートルに。だが、日々の練習で仲間に勝てず、成績も残せないことで悩んだ。「すごく悔しい気持ちがあって。うれしい気持ちになることもあまりなく、何度もくじけそうになった」。転機は1年冬だった。遠藤ひろみ監督の勧めで400メートル障害に転向した時に心に火がついた。「ここで頑張らなきゃ」。昨年はコロナ禍で多くの公式戦が中止に追い込まれたが、2年秋の東北高校新人では400メートル障害をはじめて約10カ月で優勝を果たすなど、著しく成長した。

同秋からは部長に就任。仲間を引っ張る自覚が芽生え、全国上位を狙える実力もついた。練習中は「みんなが明るくなるよう、声がけなどで盛り上げて、練習に取り組みやすい環境作りを心がけた」。技術の向上面は、苦手だったハードリングを朝練習で改善。競技場での実戦練習につなげた。地道な努力が夢見た全国舞台での4位入賞。さらに、1走を務めた1600メートルリレーの銅メダル獲得へと結びついた。

進学先の立命大で憧れの女王に“弟子入り”を志願する。1学年上の山本亜美(1年=京都橘)は、同種目で全日本選手権優勝を果たし、日下は「ラストも(スピードが)落ちなくて、ハードルがないかのように軽々しく跳んでいる」と尊敬の念を抱いている。「4年間のうちに全日本インカレで3位以内に入ってメダルを取りたい」。高校で実現できなかった目標へ、1つずつハードルを跳び越えて走り続ける。【相沢孔志】

◆日下(くさか)あやな 2003年(平15)11月10日生まれ、仙台市出身。蒲町中1年時に競技を始める。常盤木学園では1年冬から400メートル障害に本格的に取り組み、2年時に全国高校総体代替大会の全国高校陸上大会2020で6位。3年時は全国高校総体で4位。U-20日本選手権は7位。自己ベストは1分00秒11。156センチ。家族は両親と兄、弟。好物はチョコレート。