北海道マラソンが28日(午前8時30分スタート)、3年ぶりに開催される。18年以来2度目の出場となる士別市出身の小椋裕介(29=ヤクルト)が故郷で初のマラソン優勝を狙う。今年2月末に左足大腿(だいたい)骨を疲労骨折し、東京マラソンの出場を断念。23年秋に予定されている24年パリオリンピック(五輪)の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を懸け、地元レースに挑む。

地元レースに小椋の心は躍っている。「北海道でマラソンを走れるということがまず1つうれしい。地元の友人たちも応援メッセージをくれたり」。今大会は来秋に予定されているMGC出場権が懸かるレースの1つ。「とにかくMGCの出場権を最低限とることが、この大会に出る1番の意味」と明確な目標を持っている。

同大会出場権獲得レースの東京マラソンに照準を合わせていたが、アクシデントが襲った。大会直前の2月末に左足大腿(だいたい)骨を疲労骨折。欠場を余儀なくされた。「悔しさでおかしくなりそうでしたね。無理をすれば走れるんじゃないかと思っている自分と、ここで無理したら1年を棒に振るぞと言っている自分と戦っていましたね」。4月上旬に復帰し、この大会に向けコンディションを合わせてきた。

家族が1人増え、一層気合が入る。21年9月1日に第1子となる長男が誕生。自宅では育児も積極的に行っている。「奥さんのためにも、子どものためにも頑張りたい。1歳の誕生日がちょうど北海道マラソン直後ですから、いい誕生日プレゼントにしてあげられれば」。かっこいいパパの姿を披露してみせる。

世代の近いランナーの活躍も、小椋のモチベーションを上げている。同学年の服部勇馬(28=トヨタ自動車)は昨夏、東京五輪代表として札幌の街を走った。今大会にエントリーしているヤクルトのチームメート高久龍(29)はすでにMGC出場権を獲得している。

マラソン初挑戦だった18年大会は、2時間29分9秒のタイムで63位と悔しさを残した。あれから4年。21年2月には2時間6分51秒で日本歴代9位のタイムを出すなど、確実にレベルアップしている。目標は2時間11分台。「まだ道産子で優勝している選手がいない。またとないチャンスだなと思っている」。満を持して号砲の時を待つ。【山崎純一】

◆小椋裕介(おぐら・ゆうすけ)1993年(平5)4月16日、士別市生まれ。士別中では野球部も3年で全国中学3000メートルに出場し決勝進出。札幌山の手高から本格的に陸上を始め、3年時に全国高校駅伝1区で区間12位(チームは29位)。青学大では箱根駅伝7区で3、4年時に2年連続区間賞。ヤクルトでは20年丸亀国際ハーフマラソンで1時間0分0秒の日本新をマーク。フルマラソンの自己記録は21年2月のびわ湖毎日マラソンでの2時間6分51秒。家族は妻と1男。血液型O。趣味はモンブランのおいしい店巡りと、オフにクラフトビールを飲むこと。好きな食べ物は甘い物。173センチ、60キロ。

◆北海道マラソン 国内で夏季に行われる最大級のマラソン大会として87年に設立。札幌市中心部の大通公園を発着点とする42・195キロの日本陸上連盟公認コースを使用し、男女同一コース、同時スタートで行われる。17年以降は、オリンピックのマラソン日本代表の選考競技として開催される「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の選考レースも兼ねている。