ひょうひょうとした口調に、確かな熱が帯びていた。

第99回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)へ向け、前回総合2位の順天堂大(順大)が13日、千葉・印西市のキャンパスで取材会を開催した。

昨夏の東京五輪3000メートル障害7位の三浦龍司(3年)は「ライバルは?」との問いに、「いないですけど」と前置きしつつ、静かに続けた。

「2大会連続で佐藤圭汰(1年)には負けてしまっているので…」

3冠を狙う駒澤大(駒大)のスーパールーキーの名が、すっと挙がった。

ライバルチームの選手を呼び捨てにしたのは、同じ京都・洛南高の2学年後輩だから。高校3年時に全国高校駅伝で1区を担った三浦は、2区の佐藤へタスキリレーし、一緒に都大路を駆け抜けた。

あれから3年。「中学生の頃から突出した選手だった」という“怪物”は、10月の出雲駅伝で2区の区間新記録を樹立。11月の全日本大学駅伝でも、2区で区間2位に入った。

一方の三浦は、ともに佐藤と同区間を走ったものの、出雲は区間2位、全日本は区間3位。2大会連続で、佐藤の1つ下の順位だった。

もう負けるわけにはいかない。“先輩”には、自分だけが積み重ねてきた経験値がある。

今年7月に3000メートル障害で世界選手権(米オレゴン州)に出場。9月にはダイヤモンドリーグ最終戦(スイス・チューリヒ)で4位と健闘した。

「精神面が成長した。おじけづいてしまったり、大事なところで自分のパフォーマンスが発揮できなかったりしていた部分が解消されていく。それをトラックシーズンで得られたと思う」

海の向こうでレースに臨むことで、駅伝にも通ずる精神力が鍛えられた。

箱根駅伝は1年時が1区10位、2年時が2区11位。本来の実力を出せずにいることは、自分自身がよく知っている。

「エースと言えるほどの成績は残していない。存在感のある走りをしたい」

僅差で競り負けた佐藤に対しては、「正々堂々と戦いたい」との言葉を、2度繰り返した。

自分に言い聞かせるような淡々とした口ぶりに、強い覚悟がにじむ。

先輩としての意地を見せ、07年以来の総合優勝へ。大舞台で育んだ自信を胸に、3度目の箱根路で躍動する。【藤塚大輔】