駒澤大(駒大)が2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。記録は10時間47分11秒(往路5時間23分10秒、復路5時間24分1秒)だった。復路も制し、2位中大に1分42秒差をつけた。10月の出雲、11月の全日本に続く優勝で、90年度の大東文化大、00年度の順大、10年度の早大、16年度の青学大に続き、史上5校目となる同一年度の3冠を達成した。名将・大八木弘明監督の悲願がかない「令和の常勝軍団」となった。

駒大は過去に2度、3冠に王手をかけていた。98年度は順大に、13年度は東洋大に敗れ、いずれも2位。「三度目の正直」となった。大八木監督は「昨年4月に子どもたちから“監督3冠やりましょう”と言われ、“よし、やるか”とこの1年取り組んできた。選手たちには感謝しています。ありがとう」と喜びをかみしめた。会見の最後に、大八木監督は3月での勇退を明かした。藤田敦史コーチが後任の監督となる。

往路優勝の前日同様に全区間で安定した走りを披露した。2位中大に30秒差で臨んだ6区・伊藤蒼唯(1年)が、区間賞でリードを47秒差へ広げる。7区・安原太陽(3年)も区間5位の走りで43秒差を守った。8区で主力の花尾恭輔(3年)が欠場する中、代わった赤星雄斗(3年)が区間4位の力走を披露。大八木監督の叱咤激励の声が響く中、リードを1分5秒差まで離した。

そして勝負のポイントとなったのが9区。山野力(4年)が主将らしい力強い足取りでジリジリと引き離しにかかり、狙い通りに1分32秒差とした。10区のアンカー青柿響(3年)も安定した走りで、危なげなく進んだ。後続の姿はもう見えない。そして笑顔の仲間が待つ東京・大手町のゴールにフィニッシュした。

総合力の高さを見せつけた。往路では、2区の絶対エース田沢廉(4年)が12月上旬に新型コロナウイルスに感染した影響で万全ではなかった中、全員が区間上位で走り、区間賞ゼロながらも制した。この日の復路でも花尾に加え、投入が予想されたスーパールーキーの佐藤圭汰(1年)も欠場させた。それでも1年生の伊藤や代役の赤星らが安定した走りで、他校の追随を許さなかった。これで往路優勝チームの総合優勝は、99回の大会で67度目となった。

3冠は一筋縄ではいかない偉業だ。現行の距離で出雲は6区間45・1キロ、全日本は8区間106・8キロ、箱根は2日がかりで10区間217・1キロ。走る人数も距離も異なる条件下で、3つのレースに勝つことは難しい。選手層の厚さはもちろんのこと、当日のコンディションも含めた運も必要になる。

往路3位から逆転優勝を狙った青学大は、6区でのブレーキもあって一時は8位まで順位を落とした。9区で岸本大紀(4年)が区間記録に迫る快走で3位まで順位を上げたが、連覇はならなかった。駒大から7分15秒差だった。

4位に国学院大、5位に順大、6位に早大、7位に法大、8位に創価大が続き、9位に城西大、そしてシード権の最後に東洋大が入った。東洋大は18年連続のシード権獲得となった。11位以下は、東京国際大、明大、帝京大、山梨学院大、東海大、大東文化大、日体大、立教大、国士舘大、関東学生連合(オープン参加※参考記録)、専大の順。

なお、次回の23年度大会(24年1月2、3日)は100回目の記念大会となる。全国に門戸を開放し、10月の予選会には全国の大学が参加できる。シード10校に加え、予選会で10校の枠を争う全国大会となる。

<復路区間賞>

【6区】伊藤蒼唯(駒大)58分22秒

【7区】葛西潤(創価大)杉彩文海(明大)1時間2分43秒

【8区】宗像直輝(法大)木本大地(東洋大)1時間4分16秒

【9区】岸本大紀(青学大)1時間7分27秒

【10区】西沢侑真(順大)1時間8分42秒

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