E組の日本(世界ランキング36位)がフィンランド(同24位)を98-88で破り、世界大会で歴史的な白星を挙げ、1勝1敗として2次リーグ進出に望みをつないだ。

最大18点差離されたが、第4クオーター(Q)に若き司令塔の河村勇輝(22=B1横浜BC)らの活躍で逆転した。五輪を含めた世界大会での白星は、06年世界選手権(現W杯)1次リーグのパナマ戦以来17年ぶり。世界大会での連敗を11で止めた。29日のE組最終戦でオーストラリア(同3位)と対戦。勝てば2次リーグ進出、負ければ順位決定リーグに回る。

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神がかっていた。10点差で迎えた第4Q。耐えながらじわじわと追いつくと、残り4分35秒、河村がドリブルシュートを決め、78-78で同点とする。相手のファウルで与えられたフリースローも決めて再逆転。そして立て続けに、突き放す3点シュートも決めて、世界大会17年ぶり勝利に勢いを与えた。「すごくうれしい。フィンランドという素晴らしい国を相手に勝てたことは、自信を持っていい」と実感を込めた。

第1Qは7点リードも、第2Qに逆転される。第3Qでは18点差も離され、勝利は絶望かと思われた。それでも、地元沖縄の大声援を受けた日本代表選手は、誰ひとり、あきらめるものはいなかった。粘って粘って再逆転した。試合後、わずか4点に抑えられた渡辺は目には涙を浮かべながらほえた。節目のシュートを含め、チーム2番目の25得点を奪った河村は「歴史的な勝利を日本で挙げられた。劣勢の時間帯もたくさんあったが、応援のおかげで乗り切れた。最近ずっとシュートが入らず迷惑をかけてきたが、監督、仲間が信頼してくれ、その思いが詰まったシュートだった」と感謝した。

河村は覚悟を決めて今大会に臨んでいた。福岡第一高時代にはウインターカップ連覇に貢献した。その後はバスケの名門・東海大に進み、2年で中退。在学中から特別制度でプレーした横浜BCとプロ契約を結んだ。大学をやめる決断に踏み切ったのは、五輪の大舞台を見据えてのこと。22年3月の会見ではこう説明した。

「日本を代表するポイントガードとなって、2年後のパリ五輪に出場することが目標。そこに近づくためにどうするか考え、この決断に至った」

22-23年のBリーグではMVPに輝いた。日本代表メンバーにも定着し、若き司令塔としてW杯のメンバーに選出された。

世界大会デビュー戦となった25日のドイツ戦では約18分プレーして7得点にとどまった。ボールを失った数を示すターンオーバーを4つ喫した。だからこそフィンランド戦への思いは強かった。その執念が日本の勝利の原動力になった。

次戦は29日、世界ランキング3位のオーストラリア戦になる。試合後の場内インタビューでホーバス監督は「勝つチャンスはある」と叫んだ。日本は19年中国W杯で5連敗。21年東京五輪でも3連敗を喫した。長いトンネルを抜けた今、さらにやってくれそうな勢いがある。【奥岡幹浩】