日本(世界ランキング36位)が、アジア最上位が得るパリ五輪出場権の獲得に王手をかけた。O組初戦でベネズエラ(同17位)に86-77で勝利。前半こそ1次リーグ同様にリードを許したが、36-41で折り返すと、豊富な運動量を武器に後半に逆転した。

今大会のアジア最上位が来夏のパリ五輪出場権を獲得。日本が勝ち、他のアジア勢が全敗などの条件で、1976年モントリオール大会以来の自力出場が決まる可能性があったが、9月2日の最終戦カーボベルデ(同64位)に持ち越された。

渡辺が先制の3点シュートを決めた。試合開始早々、河村のパスを受けて鮮やかにリングに沈めた。「ここまで来た以上、勝たなきゃいけない。1秒も無駄にできない」との言葉通り、序盤から躍動。さらにスチールからの速攻で豪快なダンクシュートを決め、大観衆を沸かせた。強烈なブロックショットやリバウンドでゴール下でも存在感を発揮。日本唯一のNBA選手としてチームをけん引した。

過去に対戦経験のないベネズエラは平均身長が193センチとほぼ変わらず、3点シュート主体の攻撃も似ていた。富永は試合前、「速いペースから3点シュートを打ってくる。そこを止めて、逆に自分たちがそういうバスケをする」との狙いで挑み、重要な試合をものにした。

日本は1次リーグ3戦で全て前半にリードを許してきた。この日も36-41と追う展開に。インサイドの要のホーキンソンは「試合序盤から激しく当たり、先手を取ることが重要」と強調。富永は「ドイツ戦もオーストラリア戦も、前半で試合が決まってしまうような形になってしまった。ベネズエラ戦では、前半から自分たちのペースでやることが大事」とあらためて話した。先手必勝で前半はわずか5点のリードに抑えた。

終盤に力を発揮できるのが強みの1つ。その要因が豊富な運動量だ。日本は他国に先駆け、6月から長期的合宿を組んで練習を重ねてきた。富永は「自分たちはどこのチームよりも練習している」と強調。大黒柱の渡辺も「練習をどこよりもやっているから日本は体力がある。終盤になれば、相手も精神的につらくなるし、体力も尽きてしまう」と分析していた。

格上のフィンランドから白星を挙げ、強国オーストラリアにも善戦。1次リーグでチームは確かな進歩の跡を示した。比江島は「(五輪出場の)明確な目標がある」と強い気持ちでコートに立ち、前身の1967年世界選手権以来となる同一大会2勝目。世界大会では1972年ミュンヘン五輪以来の2勝を飾った。五輪切符の行方が決着する9月2日の最終戦へ、大きく弾みをつけた。