18年平昌五輪代表の最終選考会となる全日本選手権が21日から東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われる。10年バンクーバー五輪代表で本紙評論家の小塚崇彦氏(28)が、代表争いを占う後編は、2枠を争う女子シングル。僅差の激戦になると予想した。【取材・構成=高場泉穂】

 女子は、僅差の争いとなるだろう。10年バンクーバー五輪シーズンの09年大会では、2位鈴木明子選手と3位中野友加里選手の点数差はわずか0・17点だった。中野さんは、スピンでレベルを取り逃し、逆転を許した。そういう細かい点が勝負を分ける。誰よりも、0・01点でも多く点数を取る。その気持ちを強く持ち、きっちりとできた人が勝つ。

 現段階では、実績もありGPファイナルに出場した宮原選手が、1歩リードといえる。だいぶ、氷に力が伝わるようになってきた。よくここまで状態を戻してきたと感心する。全日本選手権は国内だが、ジャッジの目が厳しい場合がある。ジャンプの回転不足だけ注意すれば、強いはずだ。また、選考条件に当てはめると、樋口選手の名前も際立つ。この2人は、GPファイナルでかなり消耗しているはずだ。全日本までの間に体力を回復させているかがカギになる。

 三原選手は、昨季はショートプログラム(SP)、フリーともに自分に合ったプログラムを滑り、成長した。今季は新しいジャンルのタンゴに挑戦したが、ここまでは音楽との波長がなかなか合わないようだった。もともと点数を取れる選手。SPをきっちりそろえれば、勝負に持ち込める。

 坂本選手は、2位に入ったスケートアメリカでぐっと五輪候補に近づいた。彼女の強みはジャンプ。必ず加点がつくような、力強く、気持ちのいいジャンプを跳んでくれる。全日本優勝も狙える圏内にいる。

 本田選手は、爆発力がある。樋口選手とともに、大舞台に強い印象があり、怖い存在だ。彼女は感覚的な人。自分が気持ちよく滑るのが、いい演技への近道だ。まだ、16歳と若いが「次の五輪」とは、思わないでほしい。「次」があるかは、誰にも分からない。優勝できる可能性はある。狙いにいってほしい。

 本郷選手は、世界ランキングの項目で上位3人に入っており、表現力でも点を稼げるが、基礎が不安定な感じがある。ただ、彼女は最終グループの最終滑走に強い。2度ほど、完璧な演技を見ている。一発に期待したい。

 これまでも全日本選手権での女子の戦いは、見ていて怖くなるような、息もできないような緊張感があった。今回も、張りつめた状況の中で、みんながいい演技をしてくれる気がする。相当面白い試合になるはずだ。

 ◆女子の五輪代表選考 代表枠は2人で、全日本選手権優勝者が最優先で代表入り。女子の2人目は全日本2、3位や全日本覇者を除くGPファイナルの日本勢上位2人、全日本終了時の3シーズンを対象とした世界ランキング、五輪シーズンの世界ランク、国際スケート連盟公認の五輪シーズン最高得点でいずれも日本勢トップ3の候補から判断する。

全日本選手権エントリーの主な女子選手
全日本選手権エントリーの主な女子選手
フィギュアスケート全日本選手権女子の展望を「0・01点差の闘い!!」と記した小塚崇彦氏(撮影・小沢裕)
フィギュアスケート全日本選手権女子の展望を「0・01点差の闘い!!」と記した小塚崇彦氏(撮影・小沢裕)