「SDGs」とはSustainable Development Goals「持続可能な開発目標」の略称だ。以前にも「ハナことば」で紹介しているが、2015年9月に161カ国の首脳が出席する国連サミットで「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。2030年までに達成しなければならないこと、とも言えるだろう。

2020年からは「目標達成のための10年」とされていたが、新型コロナの影響で、より課題が浮き彫りになった。さらなる世界の一致団結が必要、必須と言える。



そのSDGsは17の目標から成り立っている。日本にいると、なかなか「自分事」として映らないかもしれない。しかしこの目標の中には、以下のような身近に迫る課題がある。


(5)ジェンダー平等

(7)エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

(8)働きがいも経済成長も

(11)住み続けられるまちづくり

(12)つくる責任 つかう責任

(13)気候変動に具体的な施策を


例えば(8)では、現在メンタルヘルスなどの重要性が言われているし、組織的な取り組みが必要な分野に日本でもなりつつある。スポーツ界でも心理サポートは重要だと言われ、国立スポーツ科学センターのサポート事業の中にも組み込まれている。それだけではないが、このような視点も必要だ。

また、特に私は(13)の気候変動が重要であると感じる。2050年には魚の量を海洋マイクロプラスチックの量が超えると言われている。プラスチックの使用、リサイクルに関しては今すぐ自分たちでできることがある。「マイボトル」「マイストロー」「マイ箸」。何がエコなのか。そこにはプラスチック使用量を減らさなければならないという背景がある。(12)も関連してくる。

多くの団体もSDGsに力を入れ始めている。例えば日本サッカー協会は、日本代表のオフィシャルサプライヤーであるアディダス・ジャパン社が推進する「RUN FOR THE OCEANS」の取り組みに賛同し、日本代表戦2試合で走行距離2021キロ達成に挑む「JFA2021チャレンジ」を実施。海洋資源保護活動に初めて参画し、啓発に取り組んでいる。時代はスピード感を持って動きだしている。

(5)ジェンダー平等にも触れたい。スポーツ界からも新たな動きが始まっている。「SDGs in Sportsプロジェクト」だ。

アスリートたちがジェンダー平等などの問題について自ら学び、理解を深め、日本スポーツ界を活性化するために立ち上げられた。



代表は私の競泳の先輩でもある井本直歩子さんだ。国連職員として世界中で活動をしてきた。私のセカンドキャリアにも大きく影響を与えた方で、「伝統的なスポーツ界を変えたい。スポーツ界を良くしたいと思っている人がいるのに声をあげにくい。一緒に考え、自ら発言し、行動するアスリート、関係者をサポートしたい」と話してきた。

現在、プロジェクトはジェンダー平等がメインテーマだが、ダイバーシティ&インクルージョン、サステイナブルな地球環境づくりの推進と、あらゆる差別やハラスメントの根絶に向けた環境の整備を目的としている。

5月28日に2回目の勉強会が終了、次回は6月28日を予定している。今後、一般社団法人としても活動を広げる予定だ。

SDGsを知ることで、この世界は人類が自然とともに歩みながら文化を作りあげていく時代になったと理解できるはずだ。1人1人が考え、そして誰かのために心から動きたいと考え実行している人を、私は応援したい。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)