14日に開幕した世界水泳。連日、選手たちの活躍は本当に素晴らしく、会場はたくさんの感動と歓声で熱気に包まれている。そんな本大会も、飛込競技は残すところあと数試合となった。
18日に行われた女子10m準決勝では、荒井祭里(JSS宝塚)が決勝進出を決め、日本の水泳界第1号のパリオリンピック内定者となった。
準決勝は18人で行われ、荒井は1本目から安定した演技を見せた。2本目、3本目と順調に飛び進めたが、いつもの水切れが無い。中盤では少しハラハラする試合展開となり、ラスト1本を残して11位。決勝に進出できるのは12位までとなるため、ギリギリのラインだった。少しのミスも許されない。そんな中むかえた最終演技は5253B(後ろ宙返り2回半1回半捻り)。得意な演技の1つだ。みんなが成功を祈る中、思い切りのいいジャンプで踏み切った。
決まった!!
大きな歓声と共に、荒井の合計点の横には決勝進出を意味する「Q」の文字が記された。パリオリンピックの内定が決まった瞬間だった。
16日に板橋美波(滋賀県スポーツ協会)と組んだ10mシンクロでは5位に終わり、あと1歩のところでオリンピック内定を逃した。その悔しさを胸に戦った個人種目。最後の1本にその強い思いを感じた。決勝では、もう少し水しぶきを抑えることが出来れば、メダルにも手が届く。荒井は今持っている力を全て出し切る気持ちで決勝へと臨んだ。
翌日に行われた決勝では1本目から、うまくまとめて62点を獲得した。まずまずのスタートだ。そして2本目は、本人が少し苦手とする107B(前宙返り3回半えび型)。予選、準決勝とあまり良い得点を出せなかった。決勝こそは決めたい。その思いがしっかりと発揮され72点という高得点を叩き出した。会場からは大きな拍手と歓声が巻き起こった。このとき私は解説に入っていたため、実況の寺川アナウンサーと共に大興奮でこの状況を伝えた。この調子ならメダルも狙える。一気に期待が高まった。しかし、ここはやはり世界の大舞台。そう簡単にはうまくいかせてもらえなかった。いつもはあまり失敗しないはずの3本目と4本目でまさかのミス。トップとの差が大きく開いてしまった。残り1本。少しでも挽回したい。荒井にとって今大会最後のコールがプールに響き渡った。会場中の視線が10mへ向けられた。真剣なまなざしで台の先端へと進む荒井。そこから、迷うことなく空中へと飛び出した。
大きなミスは無かった。しかしトップとの差を縮めることは叶わなかった。結果は11位。私は解説をしながらも、荒井がどんな気持ちで決勝を終えたかを考えた。私自身も10mがメイン種目だっただけに、どうしても思い入れが強くなる。しかし、解説席の画面に映った荒井は清々しい笑顔を見せた。「やり切った」という表情だった。
昨年12月に右すねを疲労骨折。思うように練習が出来ない日々が続いた。荒井にとって、初めての大きな挫折だった。しかし、諦めそうになりながらも目標に向かって何とかここまで頑張ってきた。辛い日々を乗り越えこの舞台を終えた彼女は、一回り成長したように見えた。
パリオリンピックが内定し、また新たな挑戦が始まった荒井。パリの地で、さらにパワーアップした姿を見られるのが楽しみである。(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)






