第6回を迎えた「中田周三杯」。毎年12月に行われるこの大会は、飛び込み選手にとっては1年を締めくくる大切な大会となっている。

今回も会場となったのは「金沢プール」。

私の故郷でもある石川県は、日本の飛び込みの発祥地とも言われるほど歴史が長い。その始まりを作ったのが、7人のオリンピアンを育てた中田周三氏なのである。1911年に金沢市で生まれ、93歳までプールサイドに立ち続けた中田氏。最後まで指導への情熱を絶やさず選手の育成に励み、99歳で他界した。その後も、その志を受け継いだ選手が全国へと広がり今の飛び込み界がある。

「中田周三杯」は、そんな中田氏の功績を称え、教え子たちの有志によって始まった。

「中田周三杯」でプレゼンターを務める筆者
「中田周三杯」でプレゼンターを務める筆者

初めて開催されたのは2018年。その時は石川県の選手ばかりが出場していた。しかし、今ではその名が全国へと広まり、日本のトップ選手も参加する大きな大会へと成長した。

1日目の第1試合に行われたのはチーム戦。と言っても、ルールは「中田周三杯」特有のもの。昨年から始まった「チーム戦」に、今年は6チームが参加した。現役のナショナルチームもあればジュニアのチームもあり、レベルはさまざま。そのため、各チームのレベルに合わせて100点~200点のハンデをつけ試合がスタートした。

会場の大きな電光掲示板にはグラフで試合の状況が表示され、試合は大盛り上がり! 最後の1本まで接戦が繰り広げられた。まさに日本の飛び込み界が目指している雰囲気。会場中が一体となってゲームを楽しんでいるようだった。

選手たちのお陰で、飛び込み競技の面白さを存分に感じられる戦いを見る事ができた。

前回に続き、私は表彰式でのプレゼンターを務めさせてもらった。

メダルは「加賀友禅」の作家に手がけてもらった特注品
メダルは「加賀友禅」の作家に手がけてもらった特注品

メダルは「加賀友禅」の作家さんに手がけてもらった特注品。とても素敵なデザインで、「金銀銅」全てのメダルを揃えたくなるほどだ。さらに、全試合の中で最高得点を取った選手には、トロフィーの他に副賞が贈られる。昨年は「石川産のカニ」、今年は「金箔入りペーパーウエイト」と、そこにもこだわりが込められている。

開会式には県知事も駆けつけて下さり、石川県にとって飛び込み競技がどれだけ特別なものであるかが伝わってくる。

人生のほとんどを飛び込みに注いだ中田氏。今後もその想いを次世代へと繋いでいくことが私たちの役目なのではないかと感じている。「中田周三杯」が長きにわたり愛される大会になるよう少しでも力になりたいと思う。

(中川真依/北京、ロンドン五輪飛び込み日本代表)

今回も会場となったのは「金沢プール」
今回も会場となったのは「金沢プール」