昨年末に女子ゴルフの小祝さくら(22=ニトリ)をインタビューした。昨年9月のゴルフ5レディースで優勝を飾るなど、20-21年統合となったシーズンの賞金ランキングでは現在4位につけている。取材では悲願の賞金女王や地元・北海道開催大会での優勝など、今後の目標などについて話を聞いたが、今回は競技以外の面でも多くの質問をさせてもらった。

昨年の大会での囲み取材などは経験していたが、同11月にゴルフ担当となった私にとって、プロゴルファーと長く話す初めての機会だった。これまでサッカーなど他競技のアスリートに話を聞く機会はあった。ゴルフをなりわいとするアスリートはどんなマインドを持ち、普段どんな生活をしているのか。人それぞれあると思うので今後も多くのプロに同様の質問をしていきたいが、小祝は想像以上に自然体であったことが印象に残った。

SNSなどを見ていると、コロナ禍において「早く思いっきりゴルフがしたい」といったような内容を書き込むプロは少なくなかった。しかし、小祝はそうした現状も前向きにとらえ「今までなかなか家にずっといることもなかった。こういうのも貴重でいいかなと思います」と話していた。確かに昨年こそコロナ禍で試合数は減ったが、平時のゴルフ界の年間スケジュールを見ると、シーズン開幕の春先から年末まで毎週のように大会が組まれている。3~4日開催の大会が週末に開催され、大体月曜~水曜は次の大会の練習日となる。移動なども含めると、ほとんど休みがない。小祝が「今までずっとゴルフばかりやってきたので」と話していたのもうなずけた。海外大会に参加するのであれば、さらにスケジュール調整は大変になる。コロナ禍でそのサイクルが崩れて在宅生活等が長くなったことで、普段見えていなかった何かを発見できた選手も多かったのではないだろうか。

小祝は在宅生活中は室内トレーニング以外では、ジグソーパズルをしたり、映画やドラマ鑑賞をして過ごしていたという。外出可能であればアーティストのライブやスポーツ観戦に行っていたとも語り、普通の22歳の日常を教えてくれた。

ゴルフ漬けの日々を送ってプロにまで上りつめたが、他競技への興味もあるという。「短い時間で終わるスポーツもやりたかった」と明かし「そこまで短くないかもしれないですが、例えばアーチェリーとか、卓球とかでもいいと思います」。確かに18ラウンドを4時間ほどかけて回るゴルフに比べ、卓球は世界最長記録でも約1時間半ほど。アイスホッケーやラグビー、プロレス、野球など多くのスポーツの観戦経験もあり「リフレッシュになりますね」と笑顔で話した。

コロナ禍の苦しい状況は続いているが、ゴルフ界では21年の有観客開催の実現を模索している。「今年こそは」と意気込む北海道開催大会での優勝、そして賞金女王へ。ギャラリーに見守られながら躍動する小祝の姿に期待したい。【松尾幸之介】