笠りつ子(28=京セラ)が今季2勝目、ツアー通算5勝目を飾った。3打差5位から出て69をマーク。通算7アンダーで昨季賞金女王イ・ボミ(28)とのプレーオフ(PO)に突入し、2ホール目で勝負を決めた。PO2戦全勝の笠は、いずれもイを破った“ボミ・キラー”。獲得賞金は9089万2166円とツアー史上17人目の1億円プレーヤーに近づき、賞金ランクも1位イと約4000万円差の2位に浮上した。

 POで相手がイ・ボミ。絶対女王が相手でも、笠には関係ない。18番パー4の2ホール目。右ラフから残り98ヤードの第2打を、47度のウエッジでピン左奥2メートルへ。イが手前10メートル以上からのバーディートライを外した後、下りスライスラインを流し込んで勝負を決めた。

 「ボミだから全部(パットを)入れてくる。私はいつも以上の力を出さないとダメ」。昨年3月アクサ・レディースでも、当時PO4戦全勝だったイを破った。今回でPO通算8勝2敗となったイの2敗は、いずれも笠がつけたもの。堂々の“ボミ・キラー”だ。

 優勝の1800万円を加え、今季獲得賞金は9089万2166円になった。「年間賞金1億円突破」はプロ入り以来の夢。「女性で1億円稼ぐなんて、かっこいいじゃないですか。まあ昨年のボミは2億円だけど…」と笑う。2年前から携帯電話の待ち受けは、1億円の札束の画像。女子ツアー史上17人目の偉業が迫る。

 プロ11年目で初の年間2勝を挙げ、賞金ランクは2位に浮上。1位イ、3位キム・ハヌル、4位申ジエの“韓国3強”の一角を崩した。今季の目標「1番になる」も夢物語じゃなくなってきた。【加藤裕一】

 ◆笠りつ子(りゅう・りつこ)1987年(昭62)11月4日、熊本県生まれ。9歳で父清也さん(55)がコーチを務める坂田塾へ。06年に東海大二高卒業後、同年プロテスト合格。九州東海大中退。10年に賞金ランク37位で初シード獲得。11年ニトリ・レディースでツアー初優勝。160センチ、58キロ。