<米男子ゴルフ:ノーザントラスト・オープン>◇初日◇19日(日本時間20日)◇米カリフォルニア州・リビエラCC(7298ヤード、パー71)◇賞金総額630万ドル(優勝113万4400ドル)

 【ロサンゼルス(米国)=阿部健吾】石川遼(17=パナソニック)の米ツアー初陣は2オーバーの73、暫定114位に終わった。1番でバーディー発進も、経験のない緊張感に終始とらわれ、ショット、パットとも不安定。7番パー4では残り1・5メートルから3パットで6をたたくなど、2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの内容だった。破竹の勢いでゴルフ界の階段を駆け上がってきた17歳の目の前にそびえたつ、米ツアーの大きな壁。予選突破のかかる2日目は、本来の攻めるゴルフを貫き、猛チャージにかける。

 あこがれの地、穏やかな風と太陽、温かく迎えてくれたギャラリー。絶好の環境を与えてくれた幸運に、石川は笑顔で応えることはできなかった。「今までゴルフをやってて同じ緊張感を味わったことはなかった。楽しいと思えなかった」。笑みは消え、表情は常に硬い。1番から18番、さらにコースを去る時まで、初めての感覚が17歳の体と心にまとわり付いていた。

 カリフォルニアの青空に、あこがれを現実に変える第1打を放った。1番のドライバーショット。何より自信を持つクラブからフェード気味に出た球は、300ヤード超のロングドライブ。4番アイアンでピン奥8メートルに2オンさせ、イーグルチャンスにつけた。惜しくも外したが、バーディーを奪い、確かな第1歩を米国の地に刻んだ。

 だが石川はすでに自分の異変に気付いていた。「ティーグラウンドに立った時点から、このいまの頭の回転の悪さと、体の硬さだといいプレーはできないと思ってました」。コースに着いても、朝食を食べても、いつも通りだった。突然、練習場でえたいの知れない緊張感が襲ってきた。だがボールは真っすぐ飛ぶ。1番でイーグルチャンスにつけてしまったことで「逆に違和感があって、自分の頭の中で何を考えているのかわからなくなって…」。

 混乱したまま迎えた2番では、1・5メートルのパットを外しボギー。5番はティーショットを左に曲げ、ひざ下まであるラフにつかまりボギーとした。7番でも1・5メートルからまさかの3パットでダブルボギー。13番では、ティーショットを左に曲げながら木に当たってフェアウエーに戻ってくる「幸運」でバーディーを奪うも、笑顔はない。何かを変える勇気を出せぬまま、18ホールの、夢にまでみた時間は過ぎていった。

 

 どんな場面でも動じず、魅せる、攻める。わずか1年と9カ月前、彗星(すいせい)のごとくゴルフ界に現れた少年は、そのスタイルで一気に駆け上がってきた。プロ1年目の昨春、4戦連続予選落ちしても「気持ちを引きずってもいいことは起こらない」と笑顔を絶やさなかった。「世界デビュー」となった先月のザ・ロイヤル・トロフィーの初日でつまずいても、「緊張とはいい感じでつきあっていく」と言える余裕があった。だが米ツアーでは、勝手が違った。

 予選通過ラインの予想は1アンダー以上。2日目の猛チャージが必須だ。この日の後半は1バーディー、ノーボギー。歯が立たないわけではない。「この緊張感を味わっただけでも、幸せなこと。明日1日、ピンだけを見て攻めていきたい!」。本来の攻める姿勢を貫いたときこそ、夢から現実に変わった舞台で、笑顔の予選突破が見えてくる。