<高校総体:バドミントン>◇17日◇青森・弘前市

 去年と同じ3位でも意味合いは大きく違った。バドミントン団体で富岡(福島)が部員の転校、部存続の危機を乗り越え男女ともに2年連続で3位入賞した。

 福島第1原発事故の影響で警戒区域内にある同校は県内3つの高校に分散し、バドミントン部は猪苗代高校で授業を受ける。同部の男子2人、女子7人が転校を余儀なくされた。大堀均監督(43)は「当時は何も考えられなかった」という。男子9人、女子6人で練習を再開したのは5月10日。3月11日の東日本大震災から2カ月たっていた。

 練習も制限された。震災前は専用の体育館で4時間みっちり練習し、居残り練習もできた。だが、練習再開以降は練習場を転々とし、3時間までしかできなくなった。

 大堀監督は「いろんな人に支えていただきました。その人たちが今日も来てくださって」と言うと感極まり涙ぐんだ。会場にはバラバラになった富岡の教諭が休みを取り駆けつけた。水色のTシャツを着た応援団の背中には「富岡魂」の文字があった。5月に新主将に任命された宗像美月(3年)は「負けていてもあきらめないようになった」、男子準決勝で2セットを奪ったエース桃田賢斗(2年)は「今まで以上に団結力があった」と言った。選手は魂のこもったプレーを見せた。優勝にも負けない3位だった。【松屋圭祐】