7人制ラグビー女子日本代表「サクラセブンズ」が、来年のリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得した。1次リーグ最終戦でカザフスタンに敗れたが、再戦となった決勝で雪辱した。

 日本女子ラグビーの原点となった1人の「おじさん」が、秩父宮で教え子たちを見守った。鈴木陽の父雅夫さん(56)。96年、タックルをせずに腰につけたひもを取ることで代用する「タグラグビー」の指導者となった。横浜市鶴見区の下野谷第2公園で、家族4人での遊びから始めた。鈴木彩は「おじさん、こんなのおもしろいの?」と最初によってきた1人。親友の山口も一緒だった。2人が小4だった98年「おそらく日本初の女子チーム」をつくった。

 それ以来、約15年。横浜市や関東学院大の協力を得てタグラグビーの出前授業や講習会も継続。年間約150校。280校が選択授業に取り入れるまで普及した。触れ合いは延べ約12万人強。「100人が100人、ラグビーはちょっと…という反応です。でも『オリンピックに出てみない?』の言葉をかけると、『ちょっとやってみる』に変わるんです」。09年にリオ五輪新種目決定後の魔法の言葉。小出もその魅力に引き込まれた。「リオの切符をつかむことが夢の頂点。本番は楽しんでほしい。そうすれば(鈴木)彩香や(山口)真理恵たちの思いが報われる」。ほおには安堵(あんど)の涙が流れた。【鎌田直秀】