能代工(秋田)は中部大第一(愛知)に快勝し、3位決定戦を制した。

 名門復活の足場をつくった。一昨年に初の1回戦敗退に沈んだ能代工が07年以来の3位を勝ち取った。第3Q、2度9点差に詰められたが、盛実海翔主将(3年)が的確に3点シュートを沈めて反撃の芽をつんだ。チーム最多29得点を挙げ、大会ベスト5に選出された盛実は「ここで負けたら人間性が問われる。素直にうれしい。自分のリズムでできた」と胸を張った。

 87年から同校3連覇時のマネジャーを務めた栄田直宏コーチ(45)が名門再建を託された。就任した4月1日には40人の部員を前に「結束」を説き「実力を出せないで負けるのが一番悔しい。力を出しやすい環境をつくる」と宣言した。

 練習メニューを自らホワイトボードに書き出し、意図を明確化した。A、Bチームからレギュラー、リザーブという表現にかえ、別々にやっていた体力メニューを同じコートで実施。選手間の意思疎通を図ることで、結束力を高めるのが狙いだった。

 栄田コーチの「伸び伸び采配」で持てる力を最大限に発揮した。盛実主将は「コーチの思いが伝わってきて、モチベーションが上がった。自分の力を最後まで出し切れた」。名門の重圧に押しつぶされた過去の姿はもうない。常勝軍団復活に向けて、新生能代工が再び走りだした。【高橋洋平】