桐蔭学園は東海大仰星に2大会前のリベンジを果たせなかった。

 点差をつけられても最後まで強みである「継続ラグビー」を貫いた。13点差の後半ロスタイム、自陣から粘り強くつなげ、プロップ石田楽人(3年)が右中間へトライし、SH斎藤直人(3年)もコンバージョンキックを確実に決めて意地を見せた。藤原監督も「3年生が体を張り続けて60分間戦ってくれたし、桐蔭のラグビーを見せてくれた」とたたえた。

 最後まで戦う姿勢を見せ続けた背景には、メンタル面の強化が挙げられる。昨季、神奈川県大会決勝で慶応に敗れ、花園行きを逃した。だが、敗戦1週間後にメンタルトレーナーの布施努氏(52)を招き、早くも新チーム作りに取り掛かった。布施氏は月に1回約2時間半にわたり、試合のフィードバックやビデオを見せてケーススタディーなどを実戦。意見交換をすることで視野を広げさせる効果やチームで戦うことの大切さを教えてきた。選手も試合での取捨選択や切り替えの早さを身につけ、「あまりミスを恐れないようになった」とうなずく。布施氏は大会期間中も同行し、個人的に相談に乗るなど選手の不安を取り除いてきた。試合前の円陣で肩を5回上げて深呼吸し、手をぶらぶらさせ、最後に胸をたたく。「上半身が固まっていると考えが出ずらい」と、筋弛緩(しかん)法を用いてチームのルーティンも確立した。

 今季のスローガンは「築」。2大会ぶりに花園へ戻ってきて、堂々の決勝進出。心技体を兼ね備えた桐蔭学園は、来年こそ頂点に立つために再出発する。