12年ロンドン五輪卓球女子団体銀メダリストの平野早矢香(31=ミキハウス)が12日、大阪・八尾市内の同社で引退会見に臨んだ。

 会見の途中では涙を流す場面もあり「小さい頃には想像しなかったような結果が残せて、幸せな競技生活を送れました。卓球に全てをかけてきた生活だったので、すごく寂しさがあります」と振り返った。

 昨秋にリオデジャネイロ五輪代表を逃し、今後の目標について考えた。「今年の世界選手権や、海外リーグなども考えたけれど、五輪にすごく魅力を感じてやってきた」。卓球界の先輩だけでなく、同じミキハウススポーツクラブで元柔道家の野村忠宏ゼネラルマネジャー(GM=41)、親交の深い杉山愛氏(テニス)、寺川綾氏(競泳)ら数多くのアスリートに相談。「最後はスッと気持ちがまとまる瞬間がありました」と今年2月初旬に引退を決断した。

 会見後には野村GMから花束を受け取り「みんなが応援したいと思った選手でした」とねぎらいを受けた。今後は同社に社員として残り、卓球部のコーチを務めながら全国で講演や指導を行っていく。

 数ある思い出から最初に挙げたのは12年ロンドン五輪。「五輪ってこんなにも楽しいんだとあらためて感じました。一番『試合が楽しい』と思ったのが、ロンドン五輪でした」。競技者としてのスイッチを切ると、最後につぶやいた。「車の免許を取りたいと思います。これまで忙しかったので…。宣言しとかないと。取ります!」。少しの涙と、多くの笑顔で過ぎた節目のあいさつだった。