女子の高梨沙羅(20=クラレ)がW杯通算53勝目を挙げ、男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)が持つジャンプの歴代最多記録に並んだ。99・5メートル、97メートルの合計215・1点で1回目の2位から逆転し、今季9勝目。計6シーズン、出場89試合目で大記録に到達し、18年平昌五輪の舞台で金メダル獲得に弾みをつけた。前日15日に2季連続4度目の個人総合優勝を決めたW杯の次戦は3月12日のオスロ大会。優勝すれば男女を通じて単独最多の54勝となる。

 信じられなかった。優勝が決まり、周囲に声をかけられると高梨は「えっ」と、驚きの表情を浮かべた。逆転を狙った2回目は97メートルにとどまっただけに本人には意外だった。最多タイの通算53勝目でジャンプ界の頂点に肩を並べたが、「やっぱり(男子とは)舞台が違うのでレベルも違うし、一概にそれがすごいことなのかと自分の中でも複雑。それでも、こういう記録を出せたのは自信になる」と笑顔は控えめだった。

 強い風が不安定に吹き荒れていた。1回目に99・5メートルで2位。2回目も状況は変わらず、飛びすぎを避けるために直前でスタートゲートを2段下げられた。厳しい条件の中、空中に飛び出すと風にあおられたが、バランスを取りながら持ちこたえて97メートルで着地した。滑走面の抵抗を減らすためにスキーを替え、2位に終わった前日に「助走速度が出なくなった」と挙げた課題も改善。修正能力の高さを示し、大記録を引き寄せた。