シンクロナイズドスイミングのリオ五輪チーム銅メダル中村麻衣(28=井村シンクロク)が、現役を引退したことが19日、分かった。エース乾友紀子(26)と組んでデュエット・テクニカルルーティン(TR)などに出場した7月の世界選手権ブダペスト大会で完全燃焼。日本を代表するジャンパーは今後、後進の指導にあたる。「マーメイドジャパン」は20年東京五輪へ、新チームに生まれ変わる。

 マーメイドジャパンの復活を支えた功労者の引退が明らかになった。リオ五輪チーム銅の立役者中村が、7月の世界選手権ブダペスト大会限りで競技生活に別れを告げた。日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(HC、67)は「やりきったということです」と説明した。

 中村は12年ロンドン五輪で主将を務めてチーム5位。3大会ぶりのチーム銅に輝いたリオ後は三井梨紗子らが引退する中で、現役続行。今年7月の同選手権ではジャンパーを務めるチーム最年長として、新メンバーを引っ張った。乾と組んだデュエットTRは4位でメダルを逃して「悔しいです」と話していた。日本は同選手権の五輪種目で銅1個に終わり、28歳はチームが再編成されるタイミングでひと区切りをつけた。

 井村HCは「東京五輪までいったらと言ったが、本人は『やりきった』と。ロンドンでメダルがとれなくて、リオでとって(ブダペストで)とり続ける難しさを知った。リオ後に1年やったことは非常に意義があった」とねぎらった。

 井村HCは、中村が抜けたデュエットTRについて「中牧を考えているが、セカンド(ペア)も作ろうと思う」。同選手権デュエットFRで乾と組んだ中牧をTRでも起用しつつ、新戦力の発掘にも着手する。

 中村は今後、後進の育成に携わる方向。井村HCは現在、国内大会を精力的に視察しており、中村について「日本で初めて(ジャンパーとして)本格的に育てた選手。その経験を伝えてほしい」と期待していた。

 ◆中村麻衣(なかむら・まい)1989年(平元)1月13日、兵庫県生まれ。7歳で競技を始めて井村シンクロクに所属。12年ロンドン五輪は主将を務めてチーム5位、16年リオ五輪はチーム銅メダルに貢献した。163センチ、51キロ。