退場者を出して14人になった京産大が、24点差を逆転した背景には、伝統のFWの底力があった。

 バックスの展開力で勝る法大に圧倒的に攻め込まれ、前半22分までに0-24と大きくリードを許した。頸椎(けいつい)損傷で入院中のフッカー中川将弥主将(4年、御所実)の代役として、ゲーム主将を務めたPR酒井健汰(4年、春日丘)が「目の色を変えようや。このままでは終われない」と仲間を集めてゲキ。全員で「中川キャプテンのためにやろう」と誓い合い、猛反撃へとつなげた。

 前半25、31分と猛特訓で鍛え上げられた伝統のモールで連続トライ。同37分には法大の悪質なラフプレーに激高した京産大のU-20(20歳以下)日本代表NO8ファカイが、1発退場になる不運があった。

 FWが7人になりながらも、全員がひたむきに走り、欠場した中川主将と退場したファカイの2人の穴を埋めた。

 後半8分にモールから城間賢(1年、御所実)がトライを奪い、ついに勝ち越し。同18、24分には中川主将の代わりに出場したフッカー宮崎達也(3年、伏見工)が2本のトライで突き放した。泥臭く、最後まで諦めない姿に、地元関西の観衆からも大声援の後押しを受けた。宮崎は「14人になってから気持ちが1つになった。1人が2人分走ることを覚悟しました」と話した。

 関西リーグの得点ランク1位で、この日も1トライ6ゴール1PGの計20点を挙げた身長168センチのFB河野翼(4年、東海大仰星)も「僕たちは根性ラグビー。はい上がることが、京産大の姿だと思います」。中川主将と中学から一緒にプレーしてきたCTB坂本英人(4年、御所実)は「こんなところで負けたら中川に顔向けができない。勝って良かったです」と笑顔を見せた。

 京産大は06年度以来11大会ぶりの4強進出をかけ、23日の準々決勝で対抗戦2位の明大と対戦(金鳥スタ)する。