5年連続9度目出場の富士通が、63-23でIBMに勝ち、2年連続3度目の社会人王座に就いた。63点は大会最多得点記録を更新、40点差も最多得失点差を更新した。

 MVPは203ヤードを獲得し、大会レシーブ記録を更新した富士通のWR中村輝晃クラーク(29)に決まった。

 富士通は来年1月3日の日本選手権「ライスボウル」(東京ドーム)で、学生王者の日大と対戦する。

 

 【第1クオーター】

 コイントスに勝った富士通が前半のレシーブを選択。IBMのキックオフで試合が開始された。

 すると、富士通にいきなりビッグプレーが飛び出す。開始14秒、WR猪熊が99ヤードのキックオフリターンTD。PATキックも決まり、富士通が7点を先制した。

 対するIBMはRB高木がリターン。自陣30ヤード地点からの攻撃となった。最初のプレーはランで、2ヤード前進すると、QBクラフトからWR鈴木隆へのパスで、ファーストダウンを獲得した。続くパスは不成功となったが、クラフトがスクランブルランを見せ、ファーストダウンを更新。そして、RB末吉のランで前進した。ここでQBは政本に1度交代したが、すぐにクラフトが復帰。すると末吉へのパスでゴール前に迫った。すると、3分18秒、RB高木が12ヤードのTDラン。PATキックも決まり、IBMは同点に追い付いた。

 代わった富士通はWR中村がリターン。自陣30ヤードからの攻撃となった。そして、この試合最初のオフェンスで、QBキャメロンから中村への連続パスが決まり、ファーストダウンを獲得した。すると、キャメロンのラン、RBゴードンへのパスでファーストダウンを更新。さらに中村へのパスで、ゴール前3ヤードでファーストダウンを更新した。そして、5分37秒には、キャメロンからWR強へのTDパスがヒット。PATキックも決まり、富士通は再び7点のリードを奪った。

 IBMはWR栗原がリターンし、自陣31ヤード地点からの攻撃に代わった。するとQBクラフトはWR上広へのパスで9ヤード前進。末吉のランでファーストダウンを更新した。そして、50ヤード地点からTEスタントンへのパスで敵陣26ヤードまで入り込んだ。しかし、RB高木へのパスはロス。するとここで、富士通DBアディヤミが鮮やかなQBサック。IBMの反撃の芽をつんだ。

 富士通の自陣20ヤードからの攻撃に代わり、パスを受けたRBゴードンが走り、ファーストダウンを獲得した。さらに、TE水野へのパス、キャメロンのキープランでファーストダウンを更新した。これで自陣44ヤードまで進んだ富士通はWR宜本へのパスが決まり、ファーストダウンを更新。そして、中村へのパスでゴール前4ヤードまで進むと11分23秒、キャメロンからWR福井へのTDパスが決まった。PATキックも成功し、富士通はリードを14点に広げた。

 離されたくないIBMはTEスタントンが自陣43ヤードまでリターン。しかし、続くクラフトのランは2ヤードのロス。ここで代わったQB政本のパスで、IBMが自陣49ヤードまで前進したところで、第1Qが終了した。

 

 【第2クオーター】

 第4ダウンとなって、IBMはQB政本がパントを見せるが、富士通にブロックされてしまう。すると敵陣41ヤードで攻撃権を得た富士通はRBゴードンのランで14ヤード進んだ。しかし、ここでIBMのLBコグランがキャメロンのパスを後ろからはたき、キャメロンがファンブル。これをIBMが押さえ、攻撃権はIBMに代わった。するとQBクラフトからWR鈴木隆へのパスで20ヤード前進。さらにRB末吉の連続ランでファーストダウンを更新した。そして、RB高木のランと高木へのパスで7ヤード進むと、鈴木隆へのパスでファーストダウンを更新した。ここでTEスタントンがパスを受けて走り、敵陣21ヤードまで進んだが、その後のパスは不成功でIBMはFGトライを選択。すると4分47秒、K佐藤の38ヤードFGが決まり、IBMは3点を返した。

 富士通はWR猪熊がリターンし、自陣26ヤードからの攻撃。すると5分49秒、キャメロンがビッグプレーを演出した。WR中村への74ヤードTDパスをヒット。PATキックも成功し、富士通が28-10とした。

 ここで富士通はK西村がオンサイドキック。しかし、ボールはIBMが押さえ、自陣36ヤードからの攻撃となった。そして、連続攻撃で敵陣38ヤードまで入り込んだが、続くQB政本のランは2ヤードのロス。ここでLB竹内の突進に慌てた政本がパスをLBニクソンがインターセプトされてしまう。ニクソンは、そのまま60ヤードを走りきり、7分46秒、TDを決めた。

 これで25点差となり、もう離されたたくないIBMは、RB高木が敵陣31ヤードまで68ヤードのビッグリターン。しかし、続くQBクラフトのパスは連続で失敗。第3ダウンにはLB鈴木に止められ、IBMは再びFGトライをせざるを得なくなる。すると8分49秒、K佐藤が50ヤードのFGを決めた。これで得点は富士通の35-13となった。

 IBMはK小田倉の変則キックで攻撃権の維持を計るが、富士通にボールを押さえられてしまう。しかし、富士通の攻撃も続かず、IBMが自陣20ヤードからの攻撃権を得た。そしてRB高木のラン、QBクラフトからTEスタントンへのパスでファーストダウンを獲得した。続くWR上広へのパスはリプレーで成功の判定。敵陣44ヤードからの攻撃となったが、IBMはここで痛恨のホールディングの反則で10ヤード罰退してしまう。さらに富士通LB竹内と鈴木の連続QBサックで大きく後退。IBMはパントを余儀なくされ、富士通の攻撃に代わったところで、前半が終了した。

 

 【第3クオーター】

 後半はIBMのレシーブで試合再開。RB高木がビッグリターンし、自陣49ヤードからの攻撃となった。するとQBクラフトのパスの後、46秒にRB末吉が49ヤードのTDランを決めた。これで得点差は15点となった。

 富士通はRBゴードンがリターンし、自陣26ヤードからの攻撃。ここでまたゴードンが走り4ヤード進むと、IBMがパスインターフェアの反則、富士通が同45ヤードまで前進した。そして、ゴードンのランの後、キャメロンから中村へのロングパスが決まる。これで富士通がゴール前10ヤードに迫ったところで、IBMがオフサイドの反則。ボールはゴール前5ヤードに置かれた。ここからゴードンのランで2ヤード進むと、最後は3分39秒、キャメロンからWR強へのTDパスが決まった。PATキックも成功し、富士通が42-20と突き放した。

 IBMの攻撃は自陣40ヤードから。高木のランで8ヤード進み、スタントンへのパスでファーストダウンを獲得した。ここからクラフトのロングパスは不成功も、高木が走り、敵陣30ヤードへ。そして、末吉のランでファーストダウンを更新した。そして、敵陣22ヤードまで迫ったが、第3ダウンでスタントンにめがけたTDパスは不成功。IBMはまたもやFGを狙うこととなり、6分29秒、K佐藤が39ヤードのFGを成功させた。

 自陣28ヤードからの攻撃で、富士通はWR猪熊が走って敵陣46ヤードまで進んだ。すると、QBキャメロンからTE水野へのパスが成功。敵陣14ヤードまで前進した。ここからRBゴードンが2ヤードのラン。このプレーでIBMは守備の要LBコグランが負傷退場してしまう。すると富士通は強へのパスでゴール前2ヤードへ。さらに1ヤード進むと、8分53秒、キャメロンが自身でTDランを決めた。PATキックも成功で、富士通が49-23とまた点差を広げた。

 IBMはWR鈴木恵が自陣41ヤードまでリターン。ここでクラフトから梶川へのパス、末吉のランで敵陣30ヤードまで進んだ。さらにWR鈴木隆へのパス、スタントンへのパスでゴール前へ迫った。その際、富士通にフェイスマスクの反則があり、ボールは敵陣5ヤードに。次のパスは不成功となり、さらにクラフトのパスはエンドゾーンで富士通DBアディヤミにインターセプトされてしまう。

 そして、富士通の自陣20ヤードからの攻撃となると、キャメロンは中村へパスで8ヤード前進。さらにキャメロンがキープランで敵陣42ヤードまで進んだ。しかし、その後のランプレーの際、富士通はホールディングの反則。10ヤード罰退した。ここで第3Qが終了した。

 

 【第4クオーター】

 富士通は開始48秒、キャメロンが自ら54ヤードを走り、TD。これで55点目を挙げ、大会最多得点を更新した。そして、PATキックも決まり、得点は富士通の56-23となった。

 IBMは自陣29ヤードからの攻撃で、QB政本がラン。ファーストダウンを獲得したが、続く攻撃でIBMはファンブル。これを富士通がリカバーし、敵陣39ヤードでの攻撃権を得た。すると富士通はゴードンの連続ランで9ヤード前進。さらにゴードンが走り、ファーストダウンを更新した。ボールは敵陣25ヤードに。すると、ここからまたゴードンが走って、4分6秒、そのままTDランを決めた。

 これで得失点差の大会最多の40点となり、それを免れたいIBM。自陣36ヤードからの攻撃で、QB政本はパスと自身のランでファーストダウンを獲得した。そして、このプレーの間に富士通DB奥野が負傷退場となってしまう。するとIBMは、政本がTE小林へのパスと自身のランでファーストダウンを更新した。しかし、ここで富士通DB樋田がIBMのTE小林が取り損ねたパスをインターセプト。富士通の自陣33ヤードからの攻撃に代わった。

 富士通はQBが平本に交代。しかし、ここでRB高口がファンブルし、IBMのDLトゥアウにリカバーされてしまう。しかし、その後のIBMの攻撃も続かない。相手反則で2度の第4ダウンギャンブルの機会を得たが、不成功。攻撃権は富士通に代わった。

 試合時間残り4分13秒で、富士通は自陣39ヤードからの攻撃。RB高口の連続ランでファーストダウンを獲得した。さらに高口が走り、じわじわと前進、さらに第4ダウンギャンブルも見せた富士通だったが、ファーストダウン更新には至らなかった。

 試合時間は残り1分11秒となって、IBMの攻撃。RB高木のラン、クラフトのランでファーストダウンを獲得した。残り38秒からのパスは不成功も、同31秒からWR鈴木恵のランでファーストダウンを更新した。しかし、その後のフォルススタート反則で残り3秒、ゴール前13ヤードから攻撃となったIBM。クラフトからパスを受けたWR鈴木恵がTDパスを狙うも不成功となり、富士通の勝利が決まった。