富士通が爆発的攻撃力で初のV2を果たした。IBMと3年ぶり2度目の決勝。キックオフリターンで先制TDも追いつかれると、QBコービー・キャメロン(27)の3TDパスなどで前半を35-13とリードした。後半も4TDを加えて大会最多得点を更新し、63-23で2年連続3度目の優勝を飾った。来年1月3日に東京ドームでの日本選手権ライスボウルでは、27年ぶり5度目の出場となる学生代表の日大と初対決で日本一を争う。

 富士通の攻撃が止まらなかった。開始14秒でWR猪熊が99ヤードキックオフリターンTD。これがのろしだった。ここからQBキャメロンとWR中村のホットラインが全開。2本のロングパスで連続TDを演出し、第2Qには74ヤードのTDパスを決めた。

 中村は1TDもレシーブ7回で203ヤードと、大会記録を52ヤード更新で念願のMVPに輝いた。「要所でロングパスを決める得意な部分を出せた。私生活を含めてすべての面で引き出してくれ、キャメロンが人生を変えてくれた」。フランス生まれの日本人は米国人QBに感謝した。

 キャメロンは後半にはランでも54ヤードを含む2TDを挙げた。連続MVPは逃したが「自分のことより中村の記録とMVPがうれしい」。合計63得点は大会最多記録も更新だ。藤田ヘッドコーチ(HC)は「今季1番の試合。運もあったが攻撃の出来が良かった」。珍しく後半途中で笑みを見せる快勝だった。

 14年に6度目の挑戦で初の日本一も、15年は決勝でV2に失敗した。再挑戦の今季は一戦必勝を期したが、3度目で初めてリーグ戦で黒星を喫しての優勝。6チーム目の連覇を果たし、藤田HCは「1試合1試合集中力を保てた」と振り返った。次は日大との日本一決戦。8連勝中の社会人として負けるわけにはいかない。【河合香】

 ◆表彰選手 ▽MVP WR中村輝晃クラーク(富士通)▽ウォーリーアワード OL勝山晃(同)▽MIP賞 K佐藤敏基(IBM)。

 ◆富士通フロンティアーズ 84年に富士通グループの同好会で発足し、85年に「日本フットボール界の開拓者になる」とニックネームをつけ、正式に創部。88年に1部昇格、92年にリーグ初優勝。日本社会人選手権は02年に初進出し、14年に初優勝。ライスボウルも制して初の日本一となる。藤田ヘッドコーチは05年に就任。本拠は川崎市。