男子グレコローマンスタイル60キロ級は、リオ五輪59キロ級銀メダルの太田忍(24=ALSOK)が17年世界選手権覇者の文田健一郎に5-4で勝利し、2年ぶり2度目の全日本王者となった。男子フリースタイル57キロ級は世界王者の高橋侑希が2連覇を達成。女子50キロ級は入江ゆきが2度目の優勝を果たし、世界女王の53キロ級奥野春菜、62キロ級川井梨紗子、68キロ級土性沙羅は新五輪階級を制した。

 五輪メダリストと世界王者の対決は太田に軍配が上がった。3-4とリードされた残り時間13秒。“忍者レスラー”こと太田は自慢のスピードを生かし、豪快ながぶり返しで5-4と逆転。優勝を決めた瞬間、「うぉっしゃー!!」と雄たけびを上げた。「長かった…。ここで勝てなかったら階級変更を考えていた。名前通り、耐え忍ぶことができた」と感極まり涙した。

 日体大の後輩の文田とは過去3勝4敗。大会前には好調だったリオ五輪前の練習映像を確認したり、文田とスパーリングを敢行して、気持ちを高めた。1週間前には胃腸炎で3日間練習を休んだが「緊張が途切れて、良い休養になったのかも」と照れ笑い。一方で文田は「残り1分を守ってしまった」と大粒の涙をこぼした。それを横に太田は「『東京五輪60キロ級の金メダルは太田忍』と言われるぐらいの圧倒的な力をつける」と宣言。2人の戦いはまだまだ続きそうだ。