目黒学院(東京第1)は大阪桐蔭(大阪第1)の整ったディフェンスに、トライを決めきれなかった。前半に3つのトライを決められ0-21。後半に入り奮起した目黒学院フィフティーンは3つのトライを決める反撃を見せる。しかし勝利には届かず3回戦敗退となった。

 高校入学と同時にラグビーを始めたFB高橋達也主将(3年)は試合後、「自分たちができなかった日本一になるという夢を、後輩たちにかなえてほしい」と目を潤ませながら話した。

 蓮沼中時代、やんちゃだった高橋は、母薫さんに目黒学院の学校説明会に連れられ、顧問の坂本修平先生に「ラグビーをやってみないか?」と声をかけられてラグビーと出会った。入学当時はタックルも何も知らず、ゼロからのスタート。体重も48キロしかなかった。「部の寮での夕食で4合、1日トータル7合のご飯を食べ続けた。週6日、約1時間の厳しいウエートトレーニングで体もしっかり作ってきた」。3年生になった今では体重も29キロも増え、77キロになった。

 両親への感謝の心を持って、花園に臨んだ。「中学で両親には本当に迷惑をかけた。お母さんに目黒学院に連れてこられていなかったら、今の自分はいない」。薫さんも「達也がここまで来れるなんで…」と目を細める。

 達也という名前には目標を達成してほしいとの両親の思いが込められている。花園での戦いを終え、高橋は「この試合での悔しさはあるけれど、目黒学院での3年間には悔いはない」と言葉に力を込めた。高校卒業後は、法政大に進学してラグビーを続ける。2回戦で戦った長崎南山のCTB末長和輝(3年)と同じチームになる。2回戦後に、「これを付けて俺たちの分も勝ってくれ」末長から白いリストバンドを託された。高橋は「もらったのに次で負けちゃいました。大学では一緒に楽しくラグビーをやりたいです」とにっこりと笑みを浮かべ、花園を後にした。