16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)男子400メートル個人メドレー金メダル萩野公介(23=ブリヂストン)が4日、200メートル自由形を棄権した。前日3日に400メートル自由形で精彩を欠いて2位。心身の状態が崩れることを懸念した平井伯昌コーチ(54)と話し合って今日5日の200メートル個人メドレーに専念することを決断した。萩野の日本選手権での棄権は、12年200メートル背泳ぎ、同自由形以来6年ぶりとなった。

 萩野の姿はなかった。4種目エントリーした今大会の2種目目。200メートル自由形日本記録保持者が夏のパンパシフィック選手権(東京)とジャカルタ・アジア大会の選考会で棄権した。

 前日3日に400メートル自由形は2位止まり。日本記録より3秒近く遅い標準記録に届かなかった。本人は「最初から硬かった。タイムも話にならない」とがっくり。一夜明けたこの日朝、平井コーチと話し合った。

 平井コーチ 正直、どうなんだ?

 萩野 気持ちも体もしんどい部分があります。

 もともと不安があると、悪いほうに物事を考えるタイプ。平井コーチは「平らな道と思ったら、自分で勝手に転んだりするところがある。引きずらないように」。泳ぎや精神面が崩れることを懸念して棄権した。

 萩野は年末年始に体調を崩して泳ぎ込みが不足。本人は「影響はゼロじゃないが、言い訳にしたくない」。ただ平井コーチは「正直まともに練習できたのは1カ月ちょっと。400メートル自由形をちゃんと泳げたことが奇跡的。(棄権は)200メートル個人メドレーのことだけを考える、ということ」。8日の400メートル個人メドレーは状況を見極める。

 萩野はこの日の棄権で、アジア大会の800メートルリレーに出場できない。日本にも痛手だが、平井コーチは「リレーまで考えられる状態じゃないので。連盟(日本水連)にも断りを入れました。大切なのは外的なことにぶれない、強い自己。200メートル個人メドレーでそれを実行してほしい。選手生命をかけて頑張ってくれないと」とハッパをかけた。まずは代表権を目指し、今日5日から再出発する。

 ◆代表選考 個人の五輪種目は、日本選手権決勝で日本水連が定めた世界ランク20位相当の「標準記録」を突破した2位以内でパンパシフィック選手権(東京)代表決定。ジャカルタ・アジア大会は内定となる。個人の非五輪種目とリレー種目は別の基準で選考。代表枠が満たない場合は5月のジャパンオープン(東京)で追加選考を行う。