団体の世界一を決める女子ユーバー杯で日本がタイを3-0で下し、81年以来37年ぶり6度目の優勝を飾った。シングルス山口茜(20=再春館製薬所)、ダブルス福島由紀(25)広田彩花(23=ともに岐阜トリッキーパンダース)がストレート勝ちし、最後は今大会唯一全6戦出場のシングルス世界女王奥原希望(23=日本ユニシス)が、2-0の圧勝で勝利を決めた。

 戻ってきた強い奥原が、37年ぶりの快挙をけん引した。勝てば優勝の3戦目。序盤からリードを守り第1ゲームを21-12で取ると、そのまま相手を寄せ付けず、21-9で一気に決めた。今大会はチームで唯一全6戦に出場。1ゲームも落とさず優勝に貢献した。「新たな歴史をつくるのは意識していなかった。このメンバーで取りにいこうと、それだけだった。やるべきことを確認しながら、自分や仲間を信じて戦えた」と、胸を張った。

 奥原自身にとっても、この結果は大きな意味を持つ。16年リオ・オリンピック(五輪)銅メダル、17年世界選手権優勝と順調に“女王”への階段を上がっていた昨年9月、15年に手術した右膝を再び痛めた。何をやっても痛みが消えず、11月末の全日本選手権は、1プレーで棄権し、涙した。「なんで? もう先がないのかな」。

 精神的に「追い込まれすぎて行き着いた」のは新境地だった。「今まで通り全部全力でやったら息切れしてしまう。やるときはやる。休むときは休む」。正月には今年の目標をマジックで大きく「適度」と書いた。約4カ月体を休め、1月のインドネシア・マスターズから実戦復帰。焦らずじっくりと、本来の力を取り戻しつつある。

 「後ろに頼りになる先輩がいる」と、後の第2ダブルスには16年リオ五輪ダブルス金メダルの高橋、松友組が控えていた。それほど今の日本女子は層が厚い。下馬評通りの頂点をつかみ、20年東京オリンピックでのメダル量産へさらに期待が膨らんだ。