ノルディックスキー・ジャンプ男子のレジェンド、葛西紀明(46=土屋ホーム)が27日、成田空港から欧州合宿に向け出発した。

 期間は約3週間で今季、そして、22年北京冬季五輪(北京オリンピック)に向けた初飛びを行うほか、技術改善に努める。早朝にもかかわらず相変わらず、さわやかさ全開で空港に姿を見せた葛西は「調子はいいですよ。スロベニアではずっと悩んでいるアプローチ(助走路)のポジションをチェックしたい。良い位置が見つかればスピードも出てくると思う。そこさえ見つかれば、全然、問題ない」と柔らかな笑顔に隠した負けん気をのぞかせた。

 世界最多8度目の出場となった2月の平昌冬季五輪(ピョンチャン・オリンピック)では、ノーマルヒルの21位が最高で、目指した金メダルには届かなかった。帰国後、「ジャンプを一から見直す」と話したが、46歳になっても衰えぬ飽くなき探求心こそレジェンドの強さ。合宿中は昨季、チームの後輩、小林陵侑(21)にアドバイスをした「(助走路で)スリップをしない」ジャンプを自身も取り入れていく。小林はその助言を受け初代表となった平昌五輪で、ノーマルヒル(7位)、ラージヒル(10位)ともに日本勢男子の最上位に入った。具体的な内容は「企業秘密」と話すが、二十数年もの間、世界のトップを走り続け、培ってきた多くの引き出しから復活への糸口を探っていく。

 今季、全日本スキー連盟はグランプリ、W杯代表を、直前に記録会を行うなどし、過去の実績より、現状の実力、調子など考慮して選出していく方針。葛西と言えども油断はできないが「そこは気にしないで変わらずやっていく。普通に飛べれば大丈夫。夏の白馬のグランプリでしっかり結果を出しますよ」と全く意に介さない。

 待望する自国開催となる札幌オリンピックは、誘致する札幌市が26年から30年に方針転換する意向を示したとはいえ「どっちにしろ飛び続ける」と力強い。冬につながるレジェンドの熱い夏が、欧州から再びスタートする。