値上げか、ナンバープレート規制か、複数人乗車か-。

2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会と東京都が、大会期間中の首都高渋滞解消の検討に入った。組織委員会と都は6日、都庁で「交通輸送技術検討会」を開催。これまで交通渋滞緩和のために企業への協力呼びかけなどをしてきたが、このままでは不十分と判断。追加対策の必要性を確認した。

この日、提示された追加対策は首都高速道路の規制3案。区間や時間帯などで通常料金に上乗せ課金する「ロードプライシング」、ナンバープレート末尾の数字で通行を規制する「ナンバープレート規制」、複数人乗車の車両に専用レーンを設ける「HOV(複数乗客)レーン導入」だ。

「ロードプライシング」は首都高の利用を抑制し、流動性を確保しようというもの。課金額は複数のパターンを試算してから決めることになる。対象は一般車で物流車は含まれない。料金収受システム(ETC)を改修する必要があり、利用者からの反発も予想されるが、他の案と比べて緊急の場合は料金さえ払えば利用できる利点もある。

末尾番号に応じた「ナンバープレート規制」は、昨年の平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)でも採用された交通量削減策。奇数なら奇数日のみ、偶数なら偶数日のみ通行可能など大幅な通行規制になる。一定人数以上の乗客がいる車両に専用レーンを設ける「HOV(複数乗客)レーン導入」とともに、車両を識別するための機器と人員が必要になるのが課題。こちらも、一般車が対象で物流車には適用されない。

大会期間中は選手や関係者の移動だけでなく、観光客や貨物輸送の増加などで交通量は大幅に増える。試算では通常の平日を100とした場合、首都高の交通量は188と2倍近くになるという。仮に圏央道内側の車両が一律10%減ったとしても、首都高の利用台数減は6%だけ。首都高の利用者を減らすことが、渋滞緩和につながる。

64年東京五輪に向けて整備され首都高は、羽田空港から国立競技場、代々木の選手村を結んで大会を成功に導いた。20年東京大会もスムーズな移動のカギを握るのは首都高。検討会では今後もシミュレーションを重ね、年内には強制力のある規制を決める。