女子200メートル個人メドレーで、大本里佳(21=イトマン)が、初の世界選手権(7月、韓国)代表をつかんだ。17年世界選手権銀メダルの大橋悠依(23=イトマン東進)を相手に得意の自由形で猛追し、最後は0秒64差に迫る2分9秒91の2位で代表に内定した。

大本が、何度もはね返されてきた世界大会への出場権を、ようやく獲得した。「(力を)ためても仕方ない。バタフライから前に飛び出すくらいの勢いでいこう」と序盤から積極的に攻めた。ラスト50メートル、得意の自由形で必死に追った。右呼吸のため、左前方を泳ぐ先頭の大橋を見ることはできず、無我夢中で泳いだ。「ヘトヘトになって、粘るしかなかった。むちゃくちゃきつかった」。世界を経験したいという気力だけでゴールへ。脅威の追い上げで大橋を「ラスト15メートルやばいなと思いました」と焦らせた。

中学時代に国際大会を経験し、高校に入ってもジャパンオープンを連覇するなど好成績を収めた。それでも世界大会には縁遠く、大事な代表選考であと1歩が届かない。「1本目で頑張っていいタイムを出すと、2本目に頑張れなくなるんです」。波があった練習を見つめ直して、昨秋から自己ベストを何度も更新。「去年に比べ、レベルの高い練習をしてきた。確実に強くなっている実感がある」。今度こそはと満を持して挑んだ今大会も自己ベストを更新。ようやく納得できる結果にたどり着いた。

5日の100メートル自由形も出場予定。今年2月に自己記録54秒26をマーク。日本記録保持者の池江不在の中、出場選手中最速のタイムを持つ。スプリントでも強さを見せており、400メートルリレーでの活躍も期待できる存在だ。「リオ・オリンピック(五輪)に出られなくて本当に悔しかった。東京こそはという思いでずっとやってきた」。初めて手に入れた世界選手権の先には、東京五輪という大きな目標がすでに見えている。【松熊洋介】

◆大本里佳(おおもと・りか)1997年(平9)5月8日、京都府生まれ。1歳で水泳を始め小学6年から個人メドレーに取り組む。立命館高時代に14年、15年とジャパンオープン200メートル個人メドレーを連覇。中大に進学後、昨年の日本学生選手権で100メートル自由形と200メートル個人メドレー2冠。173センチ、59キロ。