【ブダペスト=三須一紀】男女シングルスが始まり、日本男女10人はシングルス、ダブルス、混合ダブルスの全種目で初戦突破した。

世界選手権では自身初の3種目エントリーとなった伊藤美誠(18=スターツ)はシングルス初戦を突破。22日は約3時間半の間に3試合こなす過密スケジュールで会場の問題点も把握。女子シングルスでは95年大会以来23連敗中の中国勢の壁にも挑むなど、伊藤がタフすぎる課題の数々に立ち向かう。

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伊藤がフル回転だ。シングルス1回戦でチェコ選手に危なげなく4-0でストレート勝ち。全3種目で初戦突破した。約半日前、3試合をこなしたばかりだった。前日22日、森薗との混合ダブルスで大会初戦を迎え、ウズベキスタン組に4-0で快勝発進。2試合目は女子ダブルスで早田と組み、1回戦のクロアチア組に4-0で完勝した。1日3試合目となった混合ダブルス2回戦はメイン会場から第2会場に数分かけて移動。「相手の利き手すら情報がなかった」まま、試合になだれ込んだ。そのトルコ組に4-0でストレート勝ち、約3時間半の間に3戦をこなした。

1ゲームも与えず省エネ発進にも見えたが「意外にも足にきている」と疲労を口にした。日本協会が栄養士を帯同。食事など質の高いサポートを得ているが、思わぬところで問題点があった。会場の不便さだ。メイン会場と第2会場で照明の色、室温などが違う。「メイン会場は白で、第2はオレンジ、そして第2は暑い。台が温かくなるとボールも弾む。コートによって照明の位置も違う」と悩ましい。

選手は観客と同じ動線を通って行き来しなければならず、試合間にサインも求められる。「試合前で集中もしたい。時間もない。断ることも申し訳ない」。目の前の敵以外にもクリアすべき課題は多い。最重要事項は打倒中国。日本女子シングルスは長年、中国勢に苦しめられている。95年中国・天津大会で佐藤利香が張本の母・張凌に勝利して以来、23連敗中。打倒中国は日本卓球界の悲願。立ちはだかるすべてに打ち勝ち、女王の座を目指す。

◆伊藤美誠の世界選手権個人戦

15年中国・蘇州大会で2種目に初出場し、シングルスはベスト8。新人賞も獲得した。女子ダブルスは平野美宇と組み2回戦敗退。17年ドイツ・デュッセルドルフ大会ではシングルス4回戦で中国の朱雨玲に敗れベスト16。女子ダブルスでは現在と同じ早田ひなと組み、準決勝で中国の丁寧、劉詩■組に敗れ3位。

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