ハラハラ、ドキドキの大坂劇場にようこそ! 18年全米、19年全豪に続く4大大会3大会連続優勝を狙う世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、冷や汗ものの2回戦進出だ。残り2点で敗戦のところまで追い込まれながら、同90位のアンナ・シュミエドロバ(スロバキア)に0-6、7-6、6-1で逆転勝ち。ツアー本戦区切りの100勝目に花を添えた。次戦では、12、13年全豪連覇で同43位のアザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。

足が重い。球は入らない。雨が降り、コートや球は湿気を含み重くなり、心身ともにのしかかったのは、スーパーヘビー級のプレッシャーだった。「テニス人生で、最も緊張した。スーパーストレスだった」。

コートに入るまでは、そうでもなかった。しかし、全仏のセンターコートは初めての経験だ。同コートでの前の練習も、わずか30分しかできなかった。「4大大会を初めて1位で戦って、どうしても勝ちたかった。すごいでしょって、自分自身を誇りにしたかった」。

空回りする21歳の世界女王。それを見かねたのか、実は、赤土の神様が味方した。相手から6-0、6-5で、相手のサービスゲーム。キープされたら「大坂、悪夢の敗戦」の見出しが躍る。ポイントは、相手から30-15。あと2点取られたら負けだ。

相手の第1サーブに対して、大坂が打ったフォアのリターンは、何とフレームに当たった当たり損ねだった。変な回転で、相手のコートに弾んだため、相手がタイミングを間違い、バックハンドをアウトした。もし当たり損ねが入っていなかったら、相手にマッチポイントが行き、終わっていたかもしれない。

ベンチでタオルで顔を覆い、肩をふるわせ、日本語で「信じられないね、これ」と、自分の第1サーブの不出来を嘆く。決めるのも、ミスするのも主役は自分。神様の運も自分で何とかする。残り2点で負けという5度のピンチをはねのけ、その結果が、最後は大逆転だ。

◆全仏オープンは、WOWOWで5月26日~6月10日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。