まさに理想の完璧なテニスだった。2連覇を狙う世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、世界のテニス界が注目した好カードで、大会推薦出場で、15歳の天才少女、コリ・ガウフ(米国)を完全に破壊した。「こんなに集中して、高いレベルでプレーできたのは(1月の)全豪決勝以来かも」と、6-3、6-0の1時間5分で快勝だ。

試合後には、信じられない感動的な場面が待っていた。ネットで握手し、抱き合った時に、大坂はガウフの涙を見た。「1人でシャワーを浴びながら泣くより、ファンに話した方がいい」と考えた大坂は、ガウフに「一緒にインタビューを受けよう」と誘った。

敗者と一緒に勝利インタビューを受けるなど、前代未聞だ。全米の期待を一身に集めた15歳の少女の声を、ファンに届けたいという大坂なりの配慮だった。ガウフは「泣いちゃうからいい」と1度は断ったが、ともに並んでインタビューを受けた。「学ぶことがたくさんあった。なおみ、本当にありがとう」とガウフが泣けば、大坂も「一緒に努力して、この舞台に立った。本当に素晴らしかった」と涙を見せた。

大坂とガウフは、大坂が10代の時に、フロリダ州デルレービーチにあるプロワールド・テニスアカデミーで、練習していた。「一緒に打ったことはないけど、彼女がどれだけ時間をかけて、ここまで来たかを知っている。間違いなく、私より練習してたわ」。

大坂も、まだ21歳だ。驚異的な守備力と俊敏さを持った15歳のガウフと、未来の女子テニス界を背負っていく。何度も対戦することもあるだろう。「将来、4大大会の決勝で戦うようになったら、2人にとって、すごいことよね」。この日、女子テニスの未来がスタートした。

 

◆全米オープンテニスは、WOWOWで8月26日~9月9日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。