女子5000メートルでは浦河町出身のウィリアムソン・レミ(19=大東大)が7分16秒19で初優勝し、男子1500メートルを5年ぶりに制した兄ウイリアムソン師円(24=日本電産サンキョー)と念願の兄妹Vを果たした。

ソチ、平昌と五輪に2度出場した兄を追い続けてきたレミがついに開花した。2人そろって開幕から代表入りしたW杯(第1戦は11月15日、ベラルーシ)を転戦し、22年北京五輪の兄妹出場を目指して経験を積んでいく。

   ◇   ◇   ◇

ついに兄妹Vを果たした。レミは同走の昨年覇者、酒井寧子(23=富士急)に序盤から先行し、順調にラップを刻んだ。迫ってくるライバルを気にしながら、最後1周をガムシャラに駆け抜けた。0秒83差をつけ7分16秒19の国内自己最高をマーク。直前の男子1500メートルで優勝した兄からは「おい、頼むぞ」と声をかけられていた。「『師円の妹』だけじゃなくて、自分も負けてられない。夢見てきた表彰台なのでうれしい」と笑顔が弾けた。

オーストラリア出身の父と日本人の母を持ち、兄師円の影響で5歳からスケートを始めた。高校も同じ山形中央に進学。高校3年でソチ五輪に初出場した兄に「ずっと追い付きたいと思ってきた」。持ち味の終盤の粘りを強化するために、今夏は休日返上で自転車トレに没頭。1日60~100キロをこぐこともあり、その成果が実った。

兄は頼もしい存在だ。合宿を多く行う帯広では、アパートで一緒に生活する。競技で不安な事があると親身に相談に乗ってくれるという。今大会前に受けた助言は「しっかり力がついてるんだから、自信を持っていいよ」。この言葉を信じて滑った。

家族の期待にも応えた。父ポールさんや母啓子さん、地元の後援会の人が浦河町から応援に駆け付けた。昨年12月にくも膜下出血を発症し、今はリハビリ中の祖母由紀子さん(81)の手型が書かれたメッセージカードがスタンドに掲げられた。試合中に誰よりも声援を送ったポールさんは、「最高!」と喜びを隠せなかった。

目指すは22年北京五輪の兄妹出場だ。そのためにも3000メートル、5000メートルで代表入りしたW杯前半戦で、経験を重ねていく。「世界に行くだけじゃなくて、上の人としっかり戦えるように頑張りたい」。兄に追いつき、追い越せで、成長していく。【西塚祐司】