全日本ジュニア選手権2位でショートプログラム3位発進の佐藤駿(15=埼玉栄)が、フリー1位の177・86点を記録し、ジュニア世界歴代最高合計点の255・11点で優勝した。

同じ仙台市出身でオリンピック(五輪)2連覇の羽生結弦の演技に刺激を受け、4回転ルッツなど3本の4回転ジャンプを着氷。小塚崇彦、羽生結弦、宇野昌磨に続く、日本人男子4人目の快挙を達成した。

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日本フィギュア界に新星が現れた。冒頭の4回転ルッツを決めると、続く4回転-3回転の連続トーループ、単発の4回転トーループを着氷。7本全てのジャンプを成功させ「キス・アンド・クライ」で世界歴代最高合計点を確認すると、体全体を使って激しく喜びを表現した。「ここまで点数が出るとは思わなかった。とても光栄なこと」と驚きを隠せなかった。

憧れの大先輩と同じ舞台で並んだ。自身の本番前、ホテルでシニアフリーの演技を動画で確認。羽生が大技4回転ルッツを決めたのを見て「よし。いくぞ」と気合が入った。同じ「アイスリンク仙台」出身で、幼稚園時代に羽生から贈られた宝物のペンダントを身につけて臨んで逆転優勝。表彰式の時に、最終日にしてようやく会話する機会があり「身長大きくなったね。おめでとう。ペンダント、今でも着けてくれてたんだね」と言われて感激した。

2種3本の4回転ジャンプを跳び、シニア4位相当の高得点。将来有望な若手は「まずは全日本で去年よりもいい結果を出すこと。将来の夢はオリンピックで優勝すること」と目を輝かせた。名スケーターを生み出してきた杜(もり)の都から、また1人世界に羽ばたく。

◆佐藤駿(さとう・しゅん)2004年(平16)2月6日、宮城県仙台市生まれ。5歳の時に五輪金メダルの荒川静香や羽生結弦らを輩出した「アイスリンク仙台」で競技開始。ノービス時代に全日本ノービス選手権4連覇。18年全日本選手権は4回転トーループを跳ぶなどして12位。ジュニアGPシリーズは今季初参戦。趣味は読書、音楽鑑賞。160センチ。血液型はO。