女子でショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(17=関大KFSC)が国際スケート連盟非公認ながらフリー自己最高の155・22点を記録し、合計229・20点で初優勝した。4回転サルコーは回避し、2本のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)などに成功。2位の樋口新葉(明大)に22・59点の大差をつけ、来年3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)代表を確定させた。

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全日本選手権には特別な緊張感があります。その中で紀平選手は、回転不足の判定はあったかもしれませんが、3回転半と3回転トーループの連続ジャンプを跳び、その他は全ての演技をクリーンに行いました。昨季にSPとフリーでそろえる大切さを学び、いい練習をつめたオフを過ごしたからこそ、3回転半に今季はさらなる素晴らしい安定感があります。また今後4回転サルコーを構成に入れる想定として、昨季は1番目と2番目に組み込んでいた3回転半を、今季は2番目と5番目に組み込んでいます。構成を変えても崩れない安定感は、積んできた経験から得た大きな自信があるからだと思います。

世界選手権では4回転ジャンプを複数本跳ぶトルソワ選手やシェルバコワ選手たちと、ぶつからないといけません。しかし紀平選手にも4回転サルコーや3回転ルッツなど、封印している武器があります。1つ1つのエレメントに大きな加点をもらえる技術やスケーティングの伸びやかさ。ここからブラッシュアップをして、シーズン最後に完成型が見られるのが楽しみです。(カルガリー五輪代表)