東京オリンピック(五輪)の柔道で金メダルが期待される男子66キロ級の阿部一二三(22=日体大)と女子52キロ級の詩(19=同)のきょうだいが2日、神戸市の三石神社で初詣した。

兄の一二三は絵馬に「勝負に勝つ」としたためた。「すごいたくさんの経験をした」という昨年は、2連覇していた世界選手権代表の座を丸山城志郎(26=ミキハウス)に奪われ、世界王者の座も明け渡した。しかし11月のグランドスラム(GS)大阪大会決勝で勝ち、結果次第で可能性があったライバルの東京五輪代表内定を阻止して五輪イヤーを迎えた。「何がなんでも勝ちきる。(代表選考で)勝てないと、五輪でも勝てない。自分の柔道人生で最高の1年にしたい」という思いをこめた。

妹の詩は逆にGS大阪大会決勝で敗れ、代表内定が先送りとなった。絵馬には「優勝」と書いた。「ずっと追いかけてきた20年がやっときた。五輪で優勝しかない。年が明けた瞬間に感じるものがあった」。おみくじを詩は「いやなのを引いたらいやなんで。昨年、凶を引いたこともあって」と引かなかった。吉を引いた兄の一二三は「俺が大吉にします」と宣言した。

目標は一致している。一二三は「きょうだいで五輪優勝の目標を達成するだけ」。詩も「2人で1番になってこその1年」と意気込んだ。