日本代表選手だけじゃない!! 粋な演出が、ラグビーファンをさらに盛り上げた。19年ワールドカップ(W杯)日本代表最多6人が所属するパナソニック(昨季6位)は、クボタ(同7位)に34-11で快勝した。

レフェリーが際どいプレーや誤審などを防ぐために用いるビデオ判定「TMO」の度に、約1万8000人の歓声が沸いた。会場の2つの大型画面に、W杯で日本代表の8強入りに貢献した長谷川慎スクラムコーチ(47)がボールを持ってジャンプする映像が流れた。「TMO 慎さん、跳ぶ」のタイトルとともに、マットレスの上でトライ。それを発見した観客から「慎さーん」コールまであった。

長谷川氏は現役時代にサントリーで活躍し、99、03年W杯に出場した。現役引退後にフランスにコーチ留学し、ヤマハ発動機で「日本一」と称されるスクラムを作り上げた。16年1月に代表コーチに就任し、実直な人柄と熱い指導で選手、スタッフから慕われた。ファンからも「慎さん」と声を掛けられ、握手や写真撮影なども求められた。足の位置1センチの細部までこだわる「日本流」スクラムを構築し、W杯では世界屈指のスクラムを誇るアイルランドなどと互角に渡り合うなど、初の8強進出に大きく貢献して“陰の功労者”でもあった。

昨年12月から16年まで指導していたヤマハ発動機に復帰。この日の強豪トヨタ自動車戦(31-29)もスクラムが勝因となり、開幕初白星に大きく貢献した。